X線作業主任者の過去問の解説:管理(2014年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:管理(2014年10月)

ここでは、2014年(平成26年)10月公表の過去問のうち「エックス線の管理に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2014年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2014年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2014年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2014年10月)



問1 エックス線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)エックス線は、荷電粒子の流れである。
(2)エックス線は、間接電離放射線である。
(3)連続エックス線は、制動放射により発生する。
(4)特性エックス線は、軌道電子がエネルギー準位の高い軌道から低い軌道へと転移するとき発生する。
(5)特性エックス線は、線スペクトルを示す。


答え(1)
(1)は誤り。荷電粒子とは電子や陽子などの電荷を持っている粒子のことです。エックス線は電荷を持っていません。
(2)は正しい。電離放射線とは、電離させるエネルギーを持つ放射線のことで、アルファ線などの直接電離放射線とエックス線などの間接電離放射線に分類できます。
(3)は正しい。高エネルギーの電子が、原子核の近くを通るときにスピードが遅くなり、その分のエネルギーを電磁波として放出することを制動放射といいます。
(4)は正しい。エネルギー準位は原子核から離れた軌道ほど高くなります。すなわち、軌道電子が外側の軌道から内側の軌道に移動するときに特性エックス線が発生します。
(5)は正しい。なお、制動エックス線は、連続スペクトルを示します。



問2 工業用エックス線装置のエックス線管及びエックス線の発生に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)陰極のフィラメントには、通常、融点が高いタングステンが用いられる。
(2)陰極のフィラメント端子間の電圧は、フィラメント加熱用の降圧変圧器を用いて10~20 V程度にされている。
(3)陰極のフィラメントが白熱状態に加熱されることによりフィラメント金属中の自由電子がエネルギーを得て、金属表面から飛び出したものを熱電子という。
(4)陰極には、発生した熱電子のひろがりをおさえるための集束カップ(集束筒)が設けられている。
(5)陰極のターゲットはエックス線管の軸に対して斜めになっており、加速された熱電子が衝突しエックス線が発生する領域である実焦点よりも、これをエックス線束の利用方向から見た実効焦点の方が大きくなるようにしてある。


答え(5)
(5)は誤り。陰極のターゲットはエックス線管の軸に対して斜めになっています。そうすることで、実焦点よりも実効焦点の方が小さくなります。
(1)(2)(3)(4)は正しい。



問3 工業用の分離形エックス線装置に関する次の文中の[  ]に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
「工業用の分離形エックス線装置は、エックス線管、[ A ]、高電圧発生器、[ B ]、[ C ]で構成される装置である。」

(1)[A]エックス線制御器  [B]管電流調整器   [C]高電圧ケーブル
(2)[A]エックス線制御器  [B]管電圧調整器   [C]低電圧ケーブル
(3)[A]管電圧調整器    [B]管電流調整器   [C]高電圧ケーブル及び低電圧ケーブル
(4)[A]エックス線管冷却器 [B]管電圧調整器   [C]高電圧ケーブル
(5)[A]エックス線管冷却器 [B]エックス線制御器 [C]高電圧ケーブル及び低電圧ケーブル


答え(5)
分離形エックス線装置の構造の大きな特徴は、高電圧発生器とエックス線管の間に、高電圧ケーブルを用いていることです。



問4 エックス線の減弱に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの式及び語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「単一エネルギーのエックス線の細い平行線束が厚さxの吸収体に垂直に入射する場合、入射したエックス線の強度をI0、透過した直後のエックス線の強度をI、[ A ]をμとすれば、Iは次式によって表される。
 I = I0exp(-μx)
線束が太いときには、ビルドアップ(再生)係数Bを用いて、[ B ]式によって表される。この式において、Bは1より[ C ]。」

(1)[A]質量減弱係数 [B]I = I0exp(-Bμx) [C]小さい
(2)[A]線減弱係数  [B]I = I0exp(-Bμx) [C]大きい
(3)[A]質量減弱係数 [B]I = I0exp(-μx/B) [C]小さい
(4)[A]線減弱係数  [B]I = BI0exp(-μx) [C]大きい
(5)[A]質量減弱係数 [B]I = BI0exp(-μx) [C]小さい


答え(4)
線減弱係数とは一般に減弱係数を指しますが、質量減弱係数と区分するために、線減弱係数ということがあります。
なお、質量減弱係数とは、減弱係数を密度で割ったものです。



問5 連続エックス線が物体を透過する場合の減弱に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)連続エックス線が物体を透過するとき、平均減弱係数は、物体の厚さの増加に伴い大きくなる。
(2)連続エックス線が物体を透過すると、最高強度を示すエックス線エネルギーは、低い方へ移動する。
(3)連続エックス線が物体を透過するとき、透過後の実効エネルギーは物体の厚さが増すほど高くなるが、物体が十分厚くなるとほぼ一定となる。
(4)連続エックス線は、物体を透過しても、その全強度は変わらない。
(5)連続エックス線が物体を透過するとき、透過エックス線の全強度が物体に入射する直前の全強度の1/2になる物体の厚さをHaとし、直前の全強度の1/4になる物体の厚さをHbとすれば、HbはHaの2倍に等しい。


答え(3)
(1)は誤り。平均減弱係数は、物体の厚さの増加に伴い小さくなり、物体が十分厚くなるとほぼ一定となります。実効エネルギーと反対の動き方をします。
(2)は誤り。物体透過後は、高エネルギー成分のエックス線が多く残るため、最高強度を示すエックス線エネルギーは、高い方へ移動します。
(3)は正しい。これは、低エネルギー成分のエックス線が物体の浅いところで減弱され、高エネルギー成分のエックス線が物体の深いところまで到達するからです。
(4)は誤り。物体透過後は、その全強度は減弱され小さくなります。
(5)は誤り。この場合、HbはHaの2倍よりも大きくなります。これも(3)の解説と同じ理由です。



問6 エックス線を鋼板に照射したときの散乱線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
ただし、特に記述したもの以外の散乱に関する条件はすべて同一とする。

(1)前方散乱線の空気カーマ率は、散乱角が大きくなるに従って減少する。
(2)前方散乱線の空気カーマ率は、鋼板の板厚が増すに従って減少する。
(3)後方散乱線の空気カーマ率は、管電圧が高くなるに従って増加する。
(4)後方散乱線の空気カーマ率は、エックス線装置の影になるような位置を除き、散乱角が大きくなるに従って増加する。
(5)後方散乱線の空気カーマ率は、鋼板の板厚が増すに従って減少する。


答え(5)
(5)は誤り。後方散乱線の空気カーマ率は、鋼板の板厚が増すに従って増加し、ある程度の厚さで一定になります。
(1)(2)(3)(4)は正しい。



問7 エックス線の遮へい及び散乱線の低減方法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ろ過板として、管電圧120~300 kVのエックス線装置にはアルミニウムを用い、管電圧120 kV以下のエックス線装置には銅を用いる。
(2)絞りは、エックス線束の広がりを制限し、エックス線を必要な部分にだけ照射するために用いる。
(3)遮へい体としては、原子番号が大きく、密度の高い物質を用いるのがよい。
(4)鉛板、鋼板、コンクリートのうち、同一の厚さでの遮へい効果は、鉛板が最も大きい。
(5)照射筒は、放射ロに取付けるラッパ状の遮へい体で、エックス線束及び散乱線が外部へ漏えいしないようにするために用いる。


答え(1)
(1)は誤り。管電圧120 kV以下のエックス線装置に、銅のろ過板を使用すると、エックス線強度が小さくなり、測定精度に悪影響を与えるおそれがあります。
(2)は正しい。絞りは、エックス線装置の放射口(照射口)に取り付けます。
(3)は正しい。密度が高く、安価な鉛などを用いると良いでしょう。
(4)は正しい。鉛は、原子番号が大きく、密度が高い金属です。
(5)は正しい。照射筒及び絞りは、必要以上に照射野(エックス線を当てる範囲)が広くならないようにするためのもので、必要な部分にだけ照射できるのが理想です。



問8 エックス線装置を使用する事業場における管理区域を設定するための外部放射線の測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)測定器は、シンチレーション式サーベイメータを用いることとし、積算型放射線測定器を用いてはならない。
(2)位置により線量率の変化が大きいと予測される場合には、測定点を密にとる。
(3)あらかじめバックグラウンド値を調査しておき、これを測定器の指示値から差し引いた値を測定結果とする。
(4)測定は、あらかじめ計算により求めた1 cm線量当量又は1 cm線量当量率の低い箇所から逐次高い箇所へと行っていく。
(5)測定点の高さは、作業床面上約1 mの位置とする。


答え(1)
(1)は誤り。測定器には、電離箱式サーベイメータ、シンチレーション式サーベイメータなどのほか、フィルムバッジ等の積算型放射線測定器も用いることができます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問9 あるエックス線装置のエックス線管の焦点から1 m離れた点での1 cm線量当量率は120 mSv/hであった。
このエックス線装置を用いて、鉄板とアルミニウム板を重ね合わせた板に細い線束のエックス線を照射したとき、エックス線管の焦点から1 m離れた点における透過後の1 cm線量当量率は30 mSv/hであった。
このとき、鉄板とアルミニウム板の厚さの組合せとして正しいものは次のうちどれか。
ただし、このエックス線の鉄に対する減弱係数を3.0 cm-1、アルミニウムに対する減弱係数を0.5 cm-1とし、鉄板及びアルミニウム板を透過した後のエックス線の実効エネルギーは、透過前と変わらないものとする。
また、散乱線による影響は無いものとする。
なお、loge2=0.69とする。

[A]=鉄板、[B]=アルミニウム板
(1)[A]2.3 mm [B]13.8 mm
(2)[A]2.3 mm [B]20.7 mm
(3)[A]3.5 mm [B]27.6 mm
(4)[A]4.6 mm [B]13.8 mm
(5)[A]4.6 mm [B]20.7 mm


答え(1)
まず、それぞれの金属板の半価層を、半価層と減弱係数の式μh = loge2 ≒ 0.69を使って求めます。
ここでは、それぞれの半価層を区別するために、鉄板の半価層をhaとし、アルミニウム板の半価層をhbとします。
問題文のただし書きの前半部分にある「ただし、このエックス線の鉄に対する減弱係数を3.0 cm-1、アルミニウムに対する減弱係数を0.5 cm-1」よりそれぞれの金属板の減弱係数を用いて計算します。

先に、鉄板の半価層haを求めます。
問題文の最後「なお、loge2=0.69とする。」の部分より「μh = 0.69」として計算します。

3.0 [cm-1] × ha [cm] = 0.69
ha [cm] = 0.69 / 3.0 [cm-1]
ha [cm] = 0.23 [cm]

最終的に求めたい厚さの単位はmmなので、mm単位に直すと次のようになります。

ha [mm] = 0.23 [cm] × 10 = 2.3 [mm]

つまり、鉄板の半価層haは、2.3 mmだとわかります。

次に、アルミニウム板の半価層hbを求めます。
問題文の最後「なお、loge2=0.69とする。」の部分より「μh = 0.69」として計算します。

0.5 [cm-1] × hb [cm] = 0.69
hb [cm] = 0.69 / 0.5 [cm-1]
hb [cm] = 1.38 [cm]

最終的に求めたい厚さの単位はmmなので、mm単位に直すと次のようになります。

hb [mm] = 1.38 [cm] × 10 = 13.8 [mm]

つまり、アルミニウム板の半価層hbは、13.8 mmだとわかります。

それぞれの金属板の半価層がわかったので、指数関数減弱の式 I = I0 (1/2) x/hを使って「鉄板とアルミニウム板を重ね合わせた板に細い線束のエックス線を照射したとき、エックス線管の焦点から1 m離れた点における透過後の1 cm線量当量率が30 mSv/hになる、鉄板xaとアルミニウム板xbの厚さの組合せ」を求めます。
ここでは、鉄板の厚さをxaとし、アルミニウム板の厚さをxbとしています。

ここで、問題文と計算で得た数値を整理しておきます。
① 問題文より、金属板を透過前の1 cm線量当量率は120 mSv/h、透過後は30 mSv/hです。
② 鉄板の厚みはxa mm、半価層は2.3 mmです。
③ アルミニウム板の厚みはxb mm、半価層は13.8 mmです。

また、今回のように、複数の板を重ね合わせる場合、減弱割合の積(掛け算)となるので次の式になります。
I=I0 (1/2) xa / ha × (1/2) xb / hb

では、この式にそれぞれの数値を代入し、計算します。

30 [mSv/h] = 120 [mSv/h] × (1/2) xa [mm] / 2.3 [mm] × (1/2) xb [mm] / 13.8 [mm]
30 [mSv/h] / 120 [mSv/h] = (1/2) xa [mm] / 2.3 [mm] × (1/2) xb [mm] / 13.8 [mm]
(1/4) = (1/2) xa [mm] / 2.3 [mm] × (1/2) xb [mm] / 13.8 [mm]
(1/2) × (1/2) = (1/2) xa [mm] / 2.3 [mm] × (1/2) xb [mm] / 13.8 [mm]
(1/2)2 = (1/2) xa [mm] / 2.3 [mm] × (1/2) xb [mm] / 13.8 [mm]
(1/2)2 = (1/2) (xa [mm] / 2.3 [mm]) + (xb [mm] / 13.8 [mm])

左辺と右辺は、(1/2)の部分が同じなので、左辺の指数2と、右辺の指数は同じ数値になります。
指数の部分を抜き出すと、次のようになります。

2 = (xa [mm] / 2.3 [mm]) + (xb [mm] / 13.8 [mm])

続いて、問題の選択肢から適切な数値を選ぶと、xa=2.3 mm、xb=13.8 mmが適切であることがわかります。
確認のため、代入すると次のようになります。

(1/2)2 = (1/2)2.3 [mm] / 2.3 [mm] × (1/2)13.8 [mm] / 13.8 [mm]
(1/2)2 = (1/2)1 × (1/2)1
(1/2)2 = (1/2)1 + 1
(1/2)2 = (1/2)2

したがって、(1)2.3 mm、13.8 mmが正解になります。



問10 下図のように、エックス線装置を用いて鋼板の透過写真撮影を行うとき、エックス線管の焦点から5 mの距離のP点における写真撮影中の1 cm線量当量率は0.5 mSv/hである。
露出時間が1枚につき90秒の写真を週90枚撮影するとき、焦点から管理区域の境界線上のQ点までの距離に最も近い値は(1)~(5)のうちどれか。
ただし、3か月は13週とする。

問10図

(1)11 m
(2)13 m
(3)15 m
(4)17 m
(5)19 m


答え(4)
管理区域とは、「エックス線による実効線量が3月間につき1.3 mSvを超えるおそれのある区域」をいいます。
ここでは、エックス線管の焦点から管理区域の境界線上のQ点までの距離を、a mとします。

まず、「P点における写真撮影中の1 cm線量当量率は0.5 mSv/h」ですが、これを「管理区域の境界の線量率1.3 mSv/3月」と単位を合わせます。
単位を合わせれば、距離の逆二乗則を使い、「エックス線管の焦点から管理区域の境界線上のQ点までの距離」を計算することができます。

まず、「写真撮影の露出時間が1枚につき90秒」なので、これを時間単位に直すと次のようになります。

90 [s/枚] / 3600 [s/h] ≒ 0.025 [h/枚]

次に、写真1枚あたりの1 cm線量当量を計算します。
P点の1 cm線量当量率0.5 mSv/hに、先ほど求めた「写真撮影の露出時間1枚につき0.025時間」を掛けると次のようになります。

0.5 [mSv/h] × 0.025 [h/枚] = 0.0125 [mSv/枚]

続いて、P点における1週間あたりの1 cm線量当量率を計算します。
写真を週に90枚撮影するので、これと先ほど求めた「写真1枚あたりの1 cm線量当量0.0125 mSv/枚」を掛けると次のようになります。

0.0125 [mSv/枚] × 90 [枚/週] = 1.125 [mSv/週]

最後に、P点における3か月あたりの1 cm線量当量率を計算します。
問題文の最後より、「3か月は13週」なので、先ほど求めた「1週間あたりの1 cm線量当量率1.125 mSv/週」を掛けると次のようになります。

1.125 [mSv/週] × 13 [週/3月] = 14.625 [mSv/3月]

それでは、距離の逆二乗則を使って、エックス線管焦点から管理区域の境界線上のQ点までの距離aを求めましょう。
「距離の逆二乗則」は、強度が距離の2乗に反比例して減少する法則なので、次のような計算式で表されます。

強度A/強度B = 距離b2/距離a2

この式にそれぞれの強度と距離を代入すると、次のようになります。

1.3 [mSv/3月] / 14.625 [mSv/3月] = 52 [m] / a2 [m]
a2 [m] × 1.3 [mSv/3月] / 14.625 [mSv/3月] = 52 [m]
a2 [m] = 52 [m] × 14.625 [mSv/3月] / 1.3 [mSv/3月]
a2 [m] = 25 [m] × 14.625 [mSv/3月] / 1.3 [mSv/3月]
a2 [m] = 281.25 [m]
a [m] ≒ 16.8 [m]

つまり、エックス線管焦点から管理区域の境界線上のQ点までの距離aは、16.8 mです。
問題文では「焦点から管理区域の境界線上のQ点までの距離に最も近い値は(1)~(5)のうちどれか。」となっているので、(4)17 mが正解です。


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