X線作業主任者の過去問の解説:測定(2015年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:測定(2015年10月)

ここでは、2015年(平成27年)10月公表の過去問のうち「エックス線の測定に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2015年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2015年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2015年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2015年10月)



問1 放射線の量とその単位に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)吸収線量は、間接電離放射線の照射により、単位質量の物質に付与されたエネルギーで、単位としてSvが用いられる。
(2)カーマは、直接電離放射線が物質中を通過する際、その飛跡に沿った単位長さ当たりに付与されたエネルギーで、単位はJ/mである。
(3)実効線量は、放射線防護の観点から定められた量であり、エックス線などの光子の場合、照射線量1 C/kgが実効線量1 Svに相当する。
(4)等価線量は、人体の特定の組織・臓器当たりの吸収線量に、放射線の種類とエネルギーに応じて定められた放射線加重係数を乗じたもので、単位としてSvが用いられる。
(5)eV(電子ボルト)は、荷電粒子の電荷を表す単位として使用され、1 eVは約1.6×10-19 Cに相当する。


答え(4)
(1)は誤り。吸収線量は、「あらゆる種類の電離放射線」の照射により、単位質量の物質に付与されたエネルギーで、単位として「Gy」が用いられます。
(2)は誤り。カーマとは、「間接電離放射線」の照射により、物質の単位質量中に生じた全荷電粒子の初期運動エネルギーの総和で、単位は「J/kg」です。
(3)は誤り。実効線量は、人体の各組織・臓器が受けた等価線量に、各組織・臓器ごとの相対的な放射線感受性を示す組織荷重係数を乗じ、これらを合計したものです。
照射線量1 C/kgが、実効線量1 Svに相当するわけではありません。
(4)は正しい。
(5)は誤り。eV(電子ボルト)は、「エネルギー」の単位として使用され、1 eVは約1.6×10-19 Jに相当します。



問2 放射線防護のための被ばく線量の算定に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「眼の水晶体の等価線量は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、[ A ]又は[ B ]のうちいずれか適切なものにより算定する。
皮膚の等価線量は、中性子線の場合を除き[ B ]により算定する。
また、妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿部における[ C ]により算定する。」

(1)[A]1 cm線量当量  [B]70 μm線量当量 [C]1 cm線量当量
(2)[A]1 cm線量当量  [B]70 μm線量当量 [C]70 μm線量当量
(3)[A]3 mm線量当量  [B]1 cm線量当量  [C]70 μm線量当量
(4)[A]70 μm線量当量 [B]1 cm線量当量  [C]1 cm線量当量
(5)[A]70 μm線量当量 [B]1 cm線量当量  [C]70 μm線量当量


答え(1)
・眼の水晶体は、1 cm線量当量又は70 μm線量当量のうちいずれか適切なものにより算定します。
・皮膚は、70 μm線量当量により算定します。
・妊娠中の女性の腹部表面は、1 cm線量当量により算定します。



問3 放射線検出器とそれに関係の深い事項との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

(1)電離箱 ・・・・・・・・・・・ ガス増幅
(2)比例計数管 ・・・・・・・・・ 窒息現象
(3)GM計数管 ・・・・・・・・・・ グロー曲線
(4)半導体検出器 ・・・・・・・・ 空乏層
(5)シンチレーション検出器 ・・・ G値


答え(4)
(1)は誤り。ガス増幅は、比例計数管やGM計数管と関係の深い事項です。
(2)は誤り。窒息現象は、GM計数管と関係の深い事項です。
(3)は誤り。グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。
(4)は正しい。
(5)は誤り。G値は、化学線量計と関係の深い事項です。



問4 GM計数管に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)GM計数管が放射線の入射により一度作動し、一時的に検出能力が失われた後、出力波高値が正常の波高値に等しくなるまでに要する時間を回復時間という。
(2)GM計数管の電離気体としては、通常アルゴンなどの希ガスが用いられる。
(3)GM計数管には、放射線こよって生じる放電を短時間で消滅させるため、消滅ガスとしてアルコールなどの有機ガス又は臭素などのハロゲンガスが少量混入される。
(4)GM計数管では、入射放射線のエネルギーを分析することができる。
(5)プラトーが長く、その傾斜が小さいプラトー特性のGM計数管の方が、一般に性能が良い。


答え(4)
(4)は誤り。GM計数管では、入射放射線のエネルギーを分析することはできません。
エネルギー分析できる機器として、比例計数管、シンチレーション式サーベイメーター、半導体式線量計があります。
(1)(2)(3)(5)は正しい。



問5 次のエックス線とその測定に用いるサーベイメータとの組合せのうち、不適切なものはどれか。

(1)散乱線を多く含むエックス線
 ・・・・・・ 電離箱式サーベイメータ
(2)0.1 μSv/h程度の低線量率のエックス線
 ・・・・・・ シンチレーション式サーベイメータ
(3)200 mSv/h程度の高線量率のエックス線
 ・・・・・・ 電離箱式サーベイメータ
(4)湿度の高い場所における100 μSv/h程度のエックス線
 ・・・・・・ GM計数管式サーベイメータ
(5)10 keV程度の低エネルギーのエックス線
 ・・・・・・ 半導体式サーベイメータ


答え(5)
(1)は正しい。電離箱式サーベイメータは、方向依存性が小さく、散乱線を多く含むエックス線の測定に適しています。
(2)は正しい。シンチレーション式サーベイメータは、自然放射線レベルの低線量率の放射線も検出することができるので、0.1 μSv/h程度の低線量率のエックス線の測定に適しています。
(3)は正しい。電離箱式サーベイメータは、エックス線発生装置から直接出ている線量の測定も行えるので、200 mSv/h程度の高線量率のエックス線の測定に適しています。
(4)は正しい。GM計数管式サーベイメータは、温度、湿度の影響を受けにくく、比較的低線量の測定に向いているので、湿度の高い場所における100 μSv/h程度のエックス線の測定に適しています。
(5)は誤り。半導体式サーベイメータは、30 keV以下の低エネルギーのエックス線の測定では、感度が悪くなるので、10 keV程度の低エネルギーのエックス線の測定には適していません。



問6 被ばく線量測定のための放射線測定単に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)電離箱式PD型ポケット線量計は、充電により先端がY字状に開いた石英繊維が放射線の入射により閉じてくることを利用した線量計である。
(2)光刺激ルミネセンス(OSL)線量計は、ラジオフォトルミネセンスを利用した線量計で、検出素子には、フッ化リチウム又はフッ化カルシウムが用いられる。
(3)フィルムバッジは、写真乳剤を塗布したフィルムを現像したときの黒化度により被ばく線量を評価する測定器で、数種類のフィルタを通した濃度の変化から、放射線の実効エネルギーを推定することができる。
(4)半導体式ポケット線量計は、固体内での放射線の電離作用を利用した線量計で、検出器にはPN接合型シリコン半導体が用いられている。
(5)電荷蓄積式(DIS)線量計は、電荷を蓄積する不揮発性メモリ素子(MOSFETトランジスタ)を電離箱の構成要素の一部とした線量計で、線量の読み取りは専用のリーダを用いて行う。


答え(2)
(2)は誤り。光刺激ルミネセンス線量計は、輝尽性蛍光を利用した線量計で、検出素子には、炭素添加酸化アルミニウムが用いられます。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問7 熱ルミネセンス線量計(TLD)と蛍光ガラス線量計(RPLD)に関する次のAからDまでの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 素子として、TLDではフッ化リチウム、硫酸カルシウムなどが、RPLDでは炭素添加酸化アルミニウムなどが用いられる。
B 線量読み取りのための発光は、TLDでは加熱により、RPLDでは緑色レーザー光照射により行われる。
C 線量の読み取りは、RPLDでは繰り返し行うことができるが、TLDでは線量を読み取ることによって素子から情報が消失してしまうため、1回しか行うことができない。
D 素子の再利用は、RPLD、TLDのいずれも、アニーリング処理を行うことにより可能となる。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(5)
Aは誤り。素子として、RPLDでは銀活性リン酸塩ガラスが用いられます。
Bは誤り。線量読み取りのための発光は、RPLDでは紫外光照射により行われます。
C,Dは正しい。



問8 放射線の測定の用語に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)GM計数管で放射線を計数するとき、分解時間内に入射した放射線は計数されないため、その分、計測値が減少することを数え落としという。
(2)GM計数管の動作特性曲線において、印加電圧を上げても計数率がほとんど変わらない範囲をプラトーといい、プラトー領域の印加電圧では、入射エックス線による一次電離量に比例した大きさの出力パルスが得られる。
(3)気体に放射線を照射したとき、1個のイオン対を作るのに必要な平均エネルギーをW値といい、気体の種類にあまり依存せず、放射線のエネルギーに応じてほぼ一定の値をとる。
(4)放射線の線量率が変化するとき、測定器の指示値が最終の値を示すまでの時間を時定数といい、時定数が長ければ指針のゆらぎは大きい。
(5)測定器の指針が安定せず、ゆらぐ現象をフェーディングという。


答え(1)
(1)は正しい。
(2)は誤り。GM計数管は、入射エックス線による一次電離量とは無関係に、一定の大きさの出力パルスが得られます。
(3)は誤り。W値は、放射線の種類やエネルギーにあまり依存せず、気体の種類に応じてほぼ一定の値をとります。
(4)は誤り。時定数が長ければ、指針のゆらぎは小さくなります。
(5)は誤り。フェーディングとは、積分型の測定器において、放射線が入射して作用した時点からの時間経過に応じて線量の読み取り値が減少していく現象のことです。



問9 ある放射線測定器を用いてt秒間放射線を測定し、計数値Nを得たとき、計数率の標準偏差(cps)を表すものは、次のうちどれか。

問9選択肢


答え(2)
標準偏差とは、バラツキを知る一つの指標で、ギリシャ文字のσ(シグマ)で表されます。
標準偏差は、平均計数率の平方根で求められます。
ですから、計数時間tで計数値Nを得た場合、計数率nと標準偏差σは、次の式で表されることになります。
問9解答式
したがって、答えは(2)になります。



問10 標準線源から1 mの距離において、電離箱式サーベイメータの積算モードでの校正を行ったところ、指針が目盛りスケール上のある目盛りまで振れるのに18秒かかった。
この目盛りの正しい値は次のうちどれか。
ただし、この標準線源から1 mの距離における1 cm線量当量率は3 mSv/hとする。

(1)10 μSv
(2)15 μSv
(3)30 μSv
(4)45 μSv
(5)60 μSv


答え(2)
この問題は、電離箱式サーベイメータの目盛りの正しい値を求める問題です。
まず、「指針が目盛りスケール上のある目盛りまで振れるのに18秒かかった。」とありますので、18秒を時間単位に直します。

18 [s] / 60 [s/min] = 0.3 [min]
0.3 [min] / 60 [min/h] = 0.005 [h]

次に、「1 cm線量当量率は3 mSv/hとする。」とありますので、今計算した時間を掛ければ、目盛りの正しい値が求まります。

3 [mSv/h] × 0.005 [h] = 0.015 [mSv]

最後に、選択肢の単位μSvに合わせましょう。

0.015 [mSv] × 1000 [μSv/mSv] = 15 [μSv]

したがって、(2)15 μSvが正解です。


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