エックス線作業主任者の予想問題 | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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エックス線作業主任者の予想問題

予想問題イラスト

本試験では「見たことない問題」「新しい傾向の問題」が出題されることがあります。

実際に受験された弊社の受講者さんからも、そういった情報が寄せられています。

その情報を参考に、X線作業主任者試験の予想問題を作成しました。

予想問題はもちろん受験対策として有効ですが、既存の過去問はすでに出題実績がある問題なのでやはり過去問も大切です。

これから受験する人は、過去問も予想問題もぜひチャレンジしてみましょう。

また予想問題は、今後も追加していくことがあります。

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予想問題 管理①

問題 エックス線を利用した各種試験装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340712】

(1)エックス線透過試験装置は、被検査物体を透過したエックス線による画像を観察する装置で、画像は、フィルムの他、イメージングプレートなどに記録される。
(2)エックス線マイクロアナライザーは、細く絞った電子線束を試料の微小部分に照射し、発生する特性エックス線を分光することによって、微小部分の元素を分析する装置である。
(3)エックス線回折装置は、結晶質の物質にエックス線を照射すると特有の回折像が得られることを利用して、物質の結晶構造を解析し、物質の性質を調べる装置である。
(4)エックス線応力測定装置は、応力による結晶の面間隔の変化をエックス線の回折を利用して調べることにより、物質内の残留応力の大きさを測定する装置である。
(5)散乱型厚さ計は、被検査物体にエックス線を照射し、被検査物体の厚さとともに前方散乱線の強度が大きくなることを利用した装置である。


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。散乱型厚さ計は、被検査物体の表面から出てくる後方散乱線の強度によって、その厚さを測定する装置です。前方散乱線ではありません。

予想問題 管理②

問題 図Ⅰのように、検査鋼板に垂直に細い線束のエックス線を照射し、エックス線管の焦点から5mの位置にあるP点で、透過したエックス線の1cm線量当量率を測定したところ、64mSv/hであった。
次に図Ⅱのように、この線束を厚さ10mmの鋼板で遮へいし、10mの位置にあるQ点で1cm線量当量率を測定したところ2mSv/hとなった。
この位置において、1cm線量当量率を0.5mSv/hとするために必要な遮へい鋼板の厚さに最も近いものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、エックス線の実効エネルギーは変わらないものとする。また、散乱線の影響は無いものとする。【340303】

管理図01

(1)12mm
(2)17mm
(3)22mm
(4)27mm
(5)32mm


答え(2)
まず、P点(5mの位置)とQ点(10mの位置)では、距離が異なりますので、距離の逆二乗則(線量IQ/線量IP=距離P2/距離Q2)を用いて、P点(5mの位置)の1cm線量当量率を、Q点(10mの位置)の値に計算します。
P点(5mの位置)で、1cm線量当量率は64mSv/hですから、次のように計算します。

線量IQ/64[mSv/h]=52[m]/102[m]
線量IQ=25[m]×64[m]/100[mSv/h]
線量IQ=16[mSv/h]

続いて、鋼板の半価層hがわからないので、減弱の式(I=I0(1/2)x/h)を用いて、問題文で与えられた値と先ほど求めた1cm線量当量率から計算します。

2[mSv/h]=16[mSv/h](1/2)10[mm]/h[mm]
2[mSv/h]/16[mSv/h]=(1/2)10[mm]/h[mm]
(1/2)×(1/2)×(1/2)=(1/2)10[mm]/h[mm]
(1/2)3=(1/2)10[mm]/h[mm]

左辺と右辺は、(1/2)の部分が同じなので、指数の部分にも同じ数字が入ります。
指数の部分を抜き出して計算すると、次のようになります。

3=10[mm]/h[mm]
h≒3.3

つまり、鋼板の半価層hは3.3mmです。
続いて、「Q点(10mの位置)において、1cm線量当量率を0.5mSv/hとするために必要な遮へい鋼板の厚さx」を、減弱の式を使って求めます。

0.5[mSv/h]=16[mSv/h](1/2)x[mm]/3.3[mm]
0.5[mSv/h]/16[mSv/h]=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
0.5[mSv/h]/16[mSv/h]=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
(1/32)[mSv/h]=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
(1/2)5=(1/2)x[mm]/3.3[mm]

左辺と右辺は、(1/2)の部分が同じなので、指数の部分にも同じ数字が入ります。
指数の部分を抜き出して計算すると、次のようになります。

5=x[mm]/3.3[mm]
5×3.3[mm]=x[mm]
x[mm]=5×3.3[mm]
x[mm]=16.5[mm]

つまり、厚さ16.5mmの遮へい鋼板を使えば、透過後の1cm線量当量率を0.5mSv/hにすることができます。
最も近いものは、(2)17mmが正解です。

予想問題 管理③

問題 エックス線装置を用いて透過写真撮影を行う場合のエックス線の遮へい及び散乱線の低減に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340303】

(1)遮へい体には、原子番号が大きく、密度の高い物質を用いるのがよい。
(2)コンクリートは鉛より遮へい効果は小さいが、安価であるため一般に遮へい体として用いられている。
(3)照射筒は、照射口に取り付けるラッパ状の遮へい体で、エックス線束及び散乱線が外部へ漏えいしないようにするために用いる。
(4)ろ過板は、硬エックス線を除去し、軟エックス線にするために用いられる金属板である。
(5)絞りは、エックス線束の広がりを制限し、エックス線を必要な部分にだけ照射するために用いる。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。コンクリートは、鉛より遮へい効果は小さいですが、施工が容易で安価なので遮へい体としてよく使われています。
(4)は誤り。ろ過板は、軟エックス線を除去し、硬エックス線にするために用いられる金属板で、被写体からの後方散乱線の低減に効果があります。

予想問題 管理④

問題 エックス線及び電磁波に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。【340119】

(1)エックス線は波長が可視光線より長い電磁波である。
(2)エックス線は、直接電離放射線である。
(3)エックス線光子の質量は、電子の質量に等しい。
(4)K系列の特性エックス線は、管電圧を上げると強度が増大するが、その波長は変わらない。
(5)電磁波の進む速さ(光速度)をc、波長をλ、振動数(周波数)をνとしたとき、その関係はc=λ/νで表される。


答え(4)
(1)は誤り。エックス線は波長が可視光線より短い電磁波です。
(2)は誤り。エックス線は、間接電離放射線です。
(3)は誤り。エックス線は、質量を持っていません。
(4)は正しい。
(5)は誤り。波長λ(ラムダ)と振動数(周波数)ν(ニュー)は、反比例の関係にあります。つまり、c=λνで表すことができます。

予想問題 管理⑤

問題 エックス線装置を使用する管理区域を設定するための外部放射線の測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340119】

(1)測定は、1cm線量当量及び70μm線量当量について行う。
(2)位置によって測定値の変化が大きいと予測される場合は、測定点を密にとる。
(3)あらかじめバックグラウンド値を調査しておき、これを測定値から差し引いた値を測定結果とする。
(4)測定者は、外部放射線の測定中には必ず放射線測定器を装着する。
(5)放射線測定器での測定が不能な場合は、計算によって3か月間の1cm線量当量を求めることができ、これをもって3か月間における外部放射線による実効線量とすることができる。


答え(1)
(1)は誤り。測定は、1cm線量当量又は1cm線量当量率について行ないます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。放射線測定器が周辺機器からのノイズの影響を受けたり、きわめて短時間の照射であることにより放射線測定器が応答できないなど、放射線測定器の性能上、正しい測定結果が得られないことが予想される場合は、計算によって求めることができます。

予想問題 法令①

問題 透過写真撮影業務に係る特別の教育(以下、特別教育という。)に関する次の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、正しいものはどれか。【340517】

(1)定格管電圧100kV以下のエックス線装置を取り扱う者に対しては、特別教育を行なわなくてもよい。
(2)特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。
(3)特別教育の講師は、エックス線作業主任者が務めなければならない。
(4)特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを1年間保存しておかなければならない。
(5)特別教育を行ったときは、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。


答え(2)
(1)は誤り。規定されていません。
(2)は正しい。
事業者は、エックス線装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、特別教育を行わなければなりません。
1.透過写真の撮影の作業の方法
2.エックス線装置の構造及び取扱いの方法
3.電離放射線の生体に与える影響
4.関係法令
ただし、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができます
(3)は誤り。規定されていません。
(4)は誤り。1年間保存ではなく、正しくは3年間保存です。
(5)は誤り。規定されていません。

予想問題 法令②

問題 エックス線装置構造規格において、工業用等のエックス線装置のエックス線管に関する規定について、次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。【340303】

「コンデンサ式高電圧装置を有する工業用等のエックス線装置のエックス線管は、波高値による定格管電圧が200kV未満のエックス線装置では、エックス線管の焦点から1mの距離における利用線錐以外の部分のエックス線の空気カーマ率が[ A ]mGy/h以下になるように、かつ、コンデンサ式高電圧装置の充電状態であって、照射時以外のとき、エックス線装置の接触可能表面から[ B ]の距離におけるエックス線の空気カーマ率が[ C ]μGy/h以下になるように、遮へいされているものでなければならない。」

(1)A:2.6 B:5cm C:10
(2)A:2.6 B:5cm C:20
(3)A:4.3 B:1m C:10
(4)A:4.3 B:1m C:20
(5)A:4.3 B:1m C:100


答え(2)
●工業用等のエックス線装置(コンデンサ式高電圧装置も含む。)のエックス線管は、その焦点から1mの距離における利用線錐以外の部分のエックス線の空気カーマ率が、波高値による定格管電圧が 200kV未満のエックス線装置では、[ 2.6 ]mGy/h以下、波高値による定格管電圧が 200kV以上のエックス線装置では、4.3mGy/h以下になるように遮へいされているものでなければなりません。

●コンデンサ式高電圧装置を有するエックス線装置のエックス線管は、コンデンサ式高電圧装置の充電状態であって、照射時以外のとき、エックス線装置の接触可能表面から[ 5cm ]の距離におけるエックス線の空気カーマ率が[ 20 ]μGy/h以下になるように遮へいされているものでなければなりません。

コンデンサ式のエックス線装置とは、充電したバッテリーから電力を得て、エックス線を照射する装置のことです。
移動させて使用する場合などは、コンデンサ式のエックス線装置が活躍することがあります。

予想問題 法令③

問題 エックス線装置構造規格に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340119】

(1)波高値による定格管電圧10kV未満のエックス線装置には、この構造規格が適用されるものはない。
(2)試験研究の目的で使用するエックス線装置には、この構造規格が適用されるものはない。
(3)この構造規格が適用されるエックス線装置は、照射筒、しぼり及びろ過板を取り付けることができる構造のものでなければならない。
(4)この構造規格が適用されるエックス線装置には、見やすい箇所に、定格出力、型式、製造者名及び製造年月が表示されていなければならない。
(5)厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、この構造規格が適用されるエックス線装置を製造し、又は輸入した者が、当該エックス線装置で、厚生労働大臣が定める規格を具備していないものを譲渡し、又は貸与した場合には、その者に対し、当該エックス線装置の回収又は改善を図ること、当該エックス線装置を使用している者へ厚生労働省令で定める事項を通知することその他当該エックス線装置が使用されることによる労働災害を防止するため必要な措置を講ずることを命ずることができる。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。例えば、規格を具備していないエックス線装置を販売した業者には、国はその業者に対して回収改善の命令をすることができます。
(2)は誤り。エックス線又はエックス線装置の研究又は教育のため、使用のつど組み立てるものには、この構造規格は適用されません。

予想問題 法令④

問題 エックス線作業主任者に関する次の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、定められていないものはどれか。【340119】

(1)満18歳に満たない者には、エックス線作業主任者免許を与えない。
(2)エックス線作業主任者免許を受けている者で、当該免許に係る業務に現に就いているもの又は就こうとするものは、氏名を変更したときは、免許証の書替えを受けなければならない。
(3)エックス線作業主任者免許を受けている者で、当該免許に係る業務に現に就いているもの又は就こうとするものは、住所を変更したときは、免許証の書替えを受けなければならない。
(4)エックス線作業主任者免許の交付を受けた者で、当該免許に係る業務に現に就いているもの又は就こうとするものは、これを滅失し、又は損傷したときは、免許証の再交付を受けなければならない。
(5)エックス線作業主任者免許に係る業務について法律違反し、免許を取り消され、その取消しの日から起算して1年を経過しない者には、当該免許を与えない。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は定められている。
免許の取り消しに該当する事項として、主に次のものがあります。
・故意又は重大な過失により、当該免許に係る業務について重大な事故を発生させたとき。
・当該免許に係る業務について、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反したとき
・当該免許試験の受験についての不正その他の不正の行為があったとき。
・免許証を他人に譲渡し、又は貸与したとき。
・免許を受けた者から当該免許の取消しの申請があったとき。
(3)は定められていない。住所変更したときは、免許証の書替えを受ける必要はありません

予想問題 法令⑤

問題 放射線業務従事者が受ける等価線量の被ばく限度に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの数値の組合せとして、法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。【340119】

「事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては5年間につき[ A ]mSv及び1年間につき[ B ]mSvを、皮膚に受けるものについては1年間につき[ C ]mSvを、それぞれ超えないようにしなければならない。」

(1)A:100 B:50 C:150
(2)A:100 B:50 C:500
(3)A:150 B:50 C:150
(4)A:150 B:100 C:500
(5)A:250 B:150 C:150


答え(2)
被ばく限度の問題は頻出で、このような穴埋め問題で出題されることもあります。
眼の水晶体100mSv/5年、および50mSv/年で、皮膚500mSv/年です。

なお、「眼の水晶体に受ける等価線量の限度」については、近年、法改正されました。
【改正前】1年間に150mSv
【改正後】5年間につき100mSvおよび1年間につき50mSv

改正日は令和2年4月1日で、施行日は令和3年4月1日です。
またこれに関連する他の内容についても改正されています。
施行日以降は、新基準での解答が求められますのでご注意ください。

【関連記事】法令改正による眼の被ばく限度の引き下げ等について

予想問題 測定①

問題 放射線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340517】

(1)エネルギー補償のない検出器のエネルギー特性は、電離箱式サーベイメータに劣る。
(2)光電子増倍管から得られる出力パルス波高は、入射エックス線の線量率に比例する。
(3)シンチレータは潮解性があるので、アルミニウムの容器に入っている。
(4)高感度で微弱線量率の測定が可能である。
(5)シンチレータから放射された光の最大放出波長は約420nm、1光子の発生に必要な平均エネルギーは約30eVである。


答え(2)
(1)は正しい。エネルギー補償とは、エックス線のエネルギーによる測定値の違いを少なくするための仕組みです。
(2)は誤り。光電子増倍管から得られる出力パルス波高は、入射エックス線のエネルギーに比例します。
(3)は正しい。NaI(Tl)シンチレータは、潮解性(空気中の水分を取り込んで水溶液になる性質)を持つため、アルミニウム容器に密封されています。
(4)は正しい。自然放射線など微弱な線量率の測定にも用いることができます。
(5)は正しい。1光子の発生に必要な平均エネルギーは約30eVです。

予想問題 測定②

問題 エックス線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340119】

(1)シンチレータに混入される微量のタリウムは、発光波長の調整や発光量増加の役割を果たす活性剤である。
(2)シンチレータにエックス線が入射すると、紫外領域の減衰時間の長い光が放射される。
(3)シンチレータから放射された光は、光電子増倍管の光電面で光電子に変換され、増倍された後、電流パルスとして出力される。
(4)シンチレーション検出器の分解時間は、おおよそ10-6~10-8秒程度であり、高速の計測を行なうことができる。
(5)光電子増倍管から得られる出力パルス波高は、シンチレーションによる発光光子数に比例する。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。出力パルス波高とシンチレータの中の発光光子数が比例するので、シンチレーション検出器ではエネルギー分析を行なうことができます。
(2)は誤り。シンチレータにエックス線が入射すると、可視領域の減衰時間の短い光(蛍光)が放射されます。

予想問題 測定③

問題 放射線の測定などの用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340119】

(1)方向依存性とは、放射線の入射方向により検出器の感度が異なることをいう。
(2)半導体検出器において、荷電粒子が半導体中で1個の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーをε値といい、シリコンの場合は約3.6eV程度である。
(3)気体に放射線を照射したとき、1個のイオン対を作るのに必要な平均エネルギーをW値といい、気体の種類にあまり依存せず、放射線のエネルギーに応じてほぼ一定の値をとる。
(4)放射線を計数したときの計数値は、時間的に確率的な現象で、測定された計数値のバラツキ(分布)はポアソン分布となる。
(5)放射線を計数したときの計数値の平均値が大きいほど、相対標準偏差は小さくなる。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。放射線を測定すると、ある時はたくさん測定して、ある時はあまり測定しないといったように、測定値にバラツキが生じます。
このバラツキ(分布)は、ポアソン分布という分布で表されます。
また、このような測定値のバラツキの程度を知るために、相対標準偏差という指標を用います。
相対標準偏差が小さいほど、測定の精度は高くなります。
(3)は誤り。W値は、気体の種類によって異なる値となります。同じ気体中では、放射線のエネルギーにあまり依存しません。

予想問題 生体①

問題 放射線の照射により誘発される染色体異常に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか【341115】

(1)染色分体型異常は、姉妹染色分体のうち一方の染色分体のみに異常が現れて生じるものである。
(2)細胞周期のG1期(DNA合成準備期)に放射線の照射を受けると染色体型異常を生じる。
(3)染色体型異常では、逆位と相互転座は安定型の染色体異常に、環状染色体と二動原体染色体は不安定型の染色体異常になる。
(4)安定型の染色体異常は、細胞の生存率に影響しない。
(5)不安定型の染色体異常は、がん細胞の発生原因となる。


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。
私たちの体は細胞でできていますが、細胞の中には、体の設計図となるDNAが折り畳まれた染色体が収められています。
放射線に被ばくすると、この染色体が傷つけられ、染色体異常を起こすことがあります。
染色体異常を起こすと、細胞が死んでしまったり、細胞ががん化することに繋がります。
また、細胞周期のどのタイミングで被ばくするかにより、染色体型異常染色分体型異常に分けられます。
染色体型異常には、逆位、相互転座、環状染色体、二動原体染色体などがあります。
このうち、逆位相互転座安定型異常で、細胞分裂の障害にならないので、細胞の生存率に影響を与えませんが、細胞のがん化の誘因となることがあります。
一方で、環状染色体二動原体染色体不安定型異常で、細胞分裂の障害になるため、細胞死を招きます。

予想問題 生体②

問題 放射線感受性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。【340712】

(1)細胞分裂の周期の中で、G1期(DNA合成準備期)後期は、G2期(分裂準備期)前期より放射線感受性が低い。
(2)細胞分裂の周期の中で、S期(DNA合成期)前期は、S期後期より放射線感受性が高い。
(3)細胞分裂の周期の中で、S期(DNA合成期)後期は、M期(分裂期)より放射線感受性が高い。
(4)細胞に放射線を照射したときの線量を横軸に、細胞の生存率を縦軸にとってグラフにすると、ほとんどの哺乳動物細胞では指数関数型となる。
(5)精巣では、精原細胞から精子に分化する順に、放射線感受性が高くなる。


答え(2)
(1)は誤り。G1期後期の方が、G2期前期より感受性が高いです。
(2)は正しい。
(3)は誤り。M期の感受性は、もっとも高いです。
(4)は誤り。哺乳動物細胞では、シグモイド型になります。
(5)は誤り。精巣では、精原細胞→第一次精母細胞→第二次精母細胞→精細胞→精子という分化経路をたどります。
このうち、精原細胞の放射線感受性がもっとも高く分化するに従って感受性が低くなり、精子では放射線にかなりの抵抗性を持ちます。

予想問題 生体③

問題 放射線による身体的影響の潜伏期に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340517】

(1)身体的影響は、潜伏期の長短によって、早期影響と晩発影響に分類される。
(2)細胞再生系の組織が被ばくした場合、早期影響の潜伏期の長さには、幹細胞が分裂し成熟するまでの時間と成熟細胞の寿命が関係する。
(3)白血病以外の発がんは、好発年齢になってからがんが生じるので、被ばくしたときの年齢が若ければ若いほど潜伏期が長くなる。
(4)眼の水晶体上皮細胞が損傷を受けて発生する白内障は、早期影響に分類される。
(5)白血病は、被ばくの年齢が若いほど、また被ばく線量が大きいほど潜伏期は短くなる。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。胃がん、肺がん、大腸がんなどのがんの好発年齢は、50~60歳代です。発がん、白血病の潜伏期は、被ばく年齢によって変わります。
(4)は誤り。白内障の潜伏期は、半年から30年(平均2~3年)で、晩発影響に分類されます。

予想問題 生体④

問題 次のAからDの放射線による身体的影響について、その発症にしきい線量が存在するものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。【340119】

A 白血病
B 白血球の減少
C 水晶体の混濁
D 胚死亡

(1)A,B,D
(2)A,C
(3)A,D
(4)B,C
(5)B,C,D


答え(5)
A白血病は、確率的影響なので、しきい線量が存在しないと考えられています。
B白血球の減少、C水晶体の混濁、D胚死亡は、確定的影響なので、しきい線量が存在します。
ほかにも、不妊、腸粘膜の脱落による下痢や下血、造血器官の障害によるリンパ球や血小板の減少には、しきい線量が存在します。

予想問題 生体⑤

問題 組織加重係数に関する次のAからDの記述のうち、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。【340119】

A 組織加重係数は、各臓器・組織の確率的影響に対する相対的な放射線感受性を表す係数である。
B 組織加重係数は、骨髄(赤色)より生殖腺の方が大きい。
C 組織加重係数は、どの組織・臓器においても1より小さい。
D 被ばくした組織・臓器の平均吸収線量に組織加重係数を乗ずることにより、等価線量を得ることができる。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(2)
A,Cは正しい。
Bは誤り。組織加重係数は、骨髄(赤色)が0.12生殖腺が0.08です。よって、骨髄(赤色)より生殖腺の方が小さいです。
Dは誤り。組織加重係数を人体の各組織・臓器が受けた等価線量に乗じ、これらを合計することで、実効線量を得ることができます。

予想問題 生体⑥

問題 放射線による遺伝的影響に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。【340119】

(1)生殖腺が被ばくしたときに生じる障害は、全て遺伝的影響である。
(2)親の体細胞に突然変異が生じると、子孫に遺伝的影響が生じる。
(3)胎児期に被ばくし、成長した子供は、将来、遺伝的影響を起こすことはない。
(4)染色体異常の種類には、フレームシフト、欠失などがある。
(5)倍加線量は、放射線による遺伝的影響を推定する指標とされ、その値が大きいほど遺伝的影響は起こりにくい。


答え(5)
(1)は誤り。生殖細胞を被ばくしたときに生じる障害には、遺伝的影響のほか、不妊などの身体的影響に分類されるものもあります。
(2)は誤り。遺伝的影響は、生殖腺にある生殖細胞を被ばくした結果、子孫を残すときに生じます。
(3)は誤り。成人だけでなく胎児や小児が被ばくした場合にも、その子孫に遺伝的影響が生じるおそれがあります。
(4)は誤り。放射線による染色体異常は、細胞周期に応じて、染色体型異常染色分体型異常などに分けられます。一方、遺伝子突然変異には、フレームシフト欠失、挿入、置換などがあります。
(5)は正しい。

予想問題 生体⑦

問題 エックス線被ばくによる造血器官及び血液に対する影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。【340119】

(1)被ばくにより骨髄中の幹細胞が障害を受けると、末梢血液中の血球数は減少していく。
(2)人の末梢血液中の有形成分の変化は、0.25Gy程度の被ばくから認められる。
(3)白血球は白色骨髄で造血される。
(4)末梢血液中の血球のうち、被ばく後減少が現れるのが最も遅いものは赤血球である。
(5)末梢血液中の赤血球の減少は貧血を招き、血小板の減少は出血傾向を示す原因となる。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。白血球などの血球は、赤色骨髄中で造血されます。
骨髄には他に、脂肪でできている黄色骨髄がありますが、当然、造血機能は持ち合わせていません。
なお、白色骨髄という組織は、人体にはありません。

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