X線作業主任者の過去問の解説:生体(2025年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:生体(2025年10月)

ここでは、2025年(令和7年)10月公表の過去問のうち「エックス線の生体に与える影響に関する知識(問31~問40)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2025年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2025年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2025年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2025年10月)



問31 放射線によるDNAの損傷と修復に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)放射線によるDNA損傷には、塩基損傷とDNA鎖切断があるが、間接電離放射線では、塩基損傷は生じない。
(2)DNA鎖切断のうち、二重らせんの片方だけが切れる1本鎖切断は、細胞死などの重篤な細胞障害に関連が深い。
(3)細胞には、DNA鎖切断を修復する機能があり、修復が誤りなく行われれば、細胞は回復し、正常に増殖を続けるが、塩基損傷を修復する機能はない。
(4)DNA鎖切断の修復方式のうち、非相同末端結合修復は、DNA切断端どうしを直接結合する方式である。
(5)DNA鎖切断のうち、2本鎖切断はDNA鎖の組換え現象が利用されるため、1本鎖切断に比べて容易に修復される。


答え(4)
(1)は誤り。間接電離放射線でも、塩基損傷は生じます
(2)は誤り。1本鎖切断は通常修復可能であり、重篤な細胞障害に直結することは少ないです。
(3)は誤り。細胞には塩基損傷修復する機能も備わっています
(4)は正しい。非相同末端結合修復は、DNA二重鎖切断の修復方式の一つで、切断端同士を直接結合する方式です。
(5)は誤り。2本鎖切断は1本鎖切断より修復が困難であり、容易に修復されるわけではありません。



問32 次のAからCの人体の組織・器官について、放射線感受性の高いものから順に並べたものは(1)~(5)のうちどれか。

A 皮脂腺
B 甲状腺
C 神経組織

(1)A,B,C
(2)A,C,B
(3)B,A,C
(4)B,C,A
(5)C,A,B


答え(1)
A:皮脂腺は、比較的放射線感受性が高い器官です。
B:甲状腺は、中程度の放射線感受性を持ちます。
C:神経組織は、分裂能が低いため、放射線感受性が最も低いです。



問33 放射線の生体影響などに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)線量率効果とは、同じ線量を照射する場合に、線量率を低くすると、生物効果が小さくなることをいう。
(2)全致死線量は、半致死線量の2倍に相当する線量であり、この線量を被ばくした個体は数時間~数日のうちに死亡する。
(3)半致死線量は、被ばくした集団の全ての個体が一定の期間内に死亡する最小線量の50%に相当する線量である。
(4)生物効果比(RBE)は、基準となる放射線と問題にしている放射線について、各々の同一線量を被ばくしたときの集団の生存率の比により、線質の異なる放射線の生物効果の大きさを比較したものである。
(5)線エネルギー付与(LET)とは、物質中を放射線が通過するとき、荷電粒子の飛跡に沿って単位長さ当たりに物質に与えられるエネルギーをいい、エックス線は高LET放射線に分類される。


答え(1)
(1)正しい。線量率効果とは、同じ線量を照射する場合でも、線量率(単位時間あたりの線量)が低いほど、放射線の生物効果が小さくなることを指します。線量率が低いと、細胞は修復しながら被ばくするため、放射線の生物効果が小さくなるのです。
(2)誤り。全致死線量(LD100は、半致死線量(LD50)の2倍とは限りません。全致死線量とは、全ての個体が死亡する最小線量を指し、個体の種類によって異なります。
(3)誤り。半致死線量(LD50は、被ばくした集団の50%が一定期間内に死亡する線量を指します。「全ての個体が死亡する最小線量の50%」という記述は誤りです。
(4)誤り。生物効果比(RBE)は、線質の異なる放射線の生物効果の大きさを比較したものですが、吸収線量の比で表します。「生存率の比」ではありません。
(5)誤り。エックス線は、長い距離に物質に少しずつエネルギーを与える低LET放射線に分類されます。高LET放射線には、アルファ線などがあり、短い距離で物質に多くのエネルギーを与えます。



問34 ヒトが一時に全身にエックス線の照射を受けた場合の早期影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)1~2Gy程度の被ばくで、放射線宿酔の症状が現れることがある。
(2)被ばくから死亡までの期間は、一般に造血器官の障害による場合の方が、消化器官の障害による場合より長い。
(3)3~5Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官の障害によるものである。
(4)消化器官の障害を主因とする死亡までの期間は、5~20日程度である。
(5)5~10Gy程度の被ばくによる死亡は、主に中枢神経系の障害によるものである。


答え(5)
(1)は正しい。1~2Gy程度の被ばくで、放射線宿酔の症状が現れることがあります。
(2)は正しい。造血器官の障害による死亡までの期間は、消化器官の障害による場合より長いです。
(3)は正しい。3~5Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官の障害によるものです。
(4)は正しい。消化器官の障害を主因とする死亡までの期間は、5~20日(概ね10日)程度です。
(5)は誤り。5~10Gy程度の被ばくによる死亡は、主に消化器官の障害によるものであり、中枢神経系の障害によるものではありません。中枢神経系の障害による死亡は、20Gy以上の高線量被ばく時に見られます。



問35 エックス線の直接作用と間接作用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)エックス線による直接作用では、エックス線によって飛び出した二次電子が生体高分子の電離又は励起を引き起こし、生体高分子に損傷を与える。
(2)エックス線による間接作用では、エックス線によって飛び出した二次電子が水分子の電離又は励起を引き起こしてラジカルを生成し、そのラジカルが生体高分子に損傷を与える。
(3)低温下では、直接作用による放射線効果は減少するが、間接作用による放射線効果は影響を受けない。
(4)生体中にシステインなどのSH基をもつ化合物が存在するとエックス線の生物効果が軽減されることは、間接作用により説明される。
(5)溶液中の酵素の濃度を変えて一定線量のエックス線を照射するとき、酵素の濃度が減少するに従って、酵素の全分子のうち不活性化される分子の占める割合が増加することは、間接作用により説明される。


答え(3)
(1)は正しい。エックス線による直接作用では、二次電子が生体高分子に損傷を与えます。
(2)は正しい。エックス線による間接作用では、ラジカルを生成し、そのラジカルが生体高分子に損傷を与えます。
(3)は誤り。低温下では放射線の生物学的効果は減少します。これは、間接作用による放射線効果が温度の影響を受けるためです。一方、直接作用による放射線効果は、温度の影響を受けません。
(4)は正しい。この効果を防護効果といいます。
(5)は正しい。



問36 生物効果比(RBE)に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A RBEを求めるときの基準放射線としては、通常、アルファ線が用いられる。
B RBEの値は、同じ線質の放射線であっても、着目する生物効果、線量率などの条件によって異なる。
C エックス線は、そのエネルギーの高低にかかわらず、RBEが1より小さい。
D RBEは、放射線の線エネルギー付与(LET)の増加とともに増大し、100keV/μm付近で最大値を示すが、更にLETが大きくなるとRBEは減少していく。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(4)
Aは誤り。RBEを求めるときの基準放射線としては、通常、低LET放射線であるエックス線やガンマ線が用いられます。
Bは正しい。たとえば、基準放射線と問題にしている放射線がともにエックス線の場合も、線量率の大小によってRBEが異なります。
Cは誤り。対象放射線をエックス線とした場合も、エネルギーの高低により、生物への効果が異なるため、RBEが1より大きい場合、小さい場合があります。
Dは正しい。LETとは、放射線の単位長さ当たりに与えるエネルギーを表す指標です。LETが100keV/μm付近の放射線が、DNAの近くを通ると必ずDNAが大きな障害を受けます。



問37 エックス線被ばくによる末梢(しょう)血液中の血球の変化に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)末梢(しょう)血液中の赤血球の減少は貧血を招き、白血球の減少は止血機能の低下を招く原因となる。
(2)末梢(しょう)血液中の血球数の減少は、250mGy程度の被ばくから認められる。
(3)末梢(しょう)血液中の白血球のうち、リンパ球は他の成分より放射線感受性が高く、被ばく直後から減少が現れる。
(4)末梢(しょう)血液中のリンパ球を除く白血球は、被ばく直後は一時的に増加が認められることがある。
(5)末梢(しょう)血液中の血球のうち、被ばく後減少が現れるのが最も遅いものは赤血球である。


答え(1)
(1)は誤り。末梢血液中の赤血球の減少は貧血を招き、白血球の減少は感染に対する抵抗力を弱める原因となります。また、血小板の減少は出血傾向を示す原因となります。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問38 エックス線被ばくによる放射線皮膚炎の症状に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 0.2Gyの被ばくでは、皮膚の充血や腫脹(ちょう)がみられる。
B 3Gyの被ばくでは、軽度の紅斑や一時的な脱毛がみられる。
C 5Gyの被ばくでは、水疱(ほう)や永久脱毛がみられる。
D 25Gyの被ばくでは、進行性びらんや難治性の潰瘍がみられる。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(4)
B,Dは正しい。
Aは誤り。皮膚の充血や腫脹は、5~12Gy程度の被ばくでみられます。
Cは誤り。水疱や永久脱毛は、12~18Gy程度の被ばくでみられます。



問39 次のAからDの放射線影響について、その発症にしきい線量が存在するものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 白血病
B 永久不妊
C 皮膚炎
D 胎児奇形

(1)A,B,D
(2)A,C
(3)A,D
(4)B,C
(5)B,C,D


答え(5)
しきい線量が存在する影響は、確定的影響です。

A:白血病は、確率的影響で、しきい線量はありません。
B:卵巣・精巣の損傷による永久不妊は、しきい線量があります。
C:皮膚炎は、しきい線量が存在するため、放射線量が一定値を超えると起こります。
D:放射線による胎児奇形は、しきい線量があります。



問40 放射線による遺伝的影響等に関する次のAからDの記述について、正しいものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 生殖細胞の突然変異には、遺伝子突然変異と染色体異常がある。
B 染色体異常には、逆位、転座などがある。
C 生殖腺が被ばくしたときに生じるおそれのある障害には、遺伝的影響のほか、身体的影響に分類されるものがある。
D 放射線照射により、突然変異率を自然における値の2倍にする線量を倍加線量といい、ヒトでは約0.05Gyである。

(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,C
(4)B,C,D
(5)B,D


答え(2)
A,B,Cは正しい。
D 誤り。ヒトにおける倍加線量は約1Gyで、0.05Gyではありません。

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はじめまして。講師の奥田真史です。エックス線作業主任者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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