X線作業主任者の過去問の解説:管理(2025年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:管理(2025年10月)

ここでは、2025年(令和7年)10月公表の過去問のうち「エックス線の管理に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2025年10月)
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問1 エックス線管及びエックス線の発生に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)エックス線管の内部は、効率的にエックス線を発生させるため、高度の真空になっている。
(2)陰極で発生する熱電子の数は、フィラメント電流を変えることで制御される。
(3)陽極のターゲットはエックス線管の軸に対して斜めになっており、加速された熱電子が衝突しエックス線が発生する領域である実焦点は、これをエックス線束の利用方向から見た実効焦点よりも小さくなる。
(4)連続エックス線の発生効率は、ターゲット元素の原子番号と管電圧の積にほぼ比例する。
(5)管電圧がターゲット元素に固有の励起電圧を超える場合、発生するエックス線は、連続エックス線と特性エックス線が混在したものになる。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。エックス線が発生する領域である実焦点より、これをエックス線束の利用方向から見た実効焦点の方が小さくなるようにしてあります。



問2 特性エックス線に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)特性エックス線の波長は、ターゲット元素の原子番号が大きくなると長くなる。
(2)特性エックス線は、原子核のエネルギー準位の遷移に伴い、原子核から放出される。
(3)管電圧が、K系列の特性エックス線を発生させるのに必要な最小値であるK励起電圧を下回るときは、他の系列の特性エックス線も発生することはない。
(4)K殻電子が電離されたことによって特性エックス線が発生することをオージェ効果という。
(5)K系列の特性エックス線は、エックス線管の管電圧を上げると強度が増大するが、その波長は変わらない。


答え(5)
(1)は誤り。原子番号が大きくなるほど、特性エックス線の波長は短く(エネルギーは大きく)なります。
(2)は誤り。特性エックス線は、電子軌道のエネルギー準位の遷移に伴い発生し、原子核の遷移は関係ありません。
(3)は誤り。K系列の特性エックス線が発生しない場合でも、L系列など他の系列の特性エックス線が発生することもあります。
(4)は誤り。K殻電子が電離された後に、上位軌道の電子が落ちると特性エックス線が出ますが、「オージェ効果」は、特性エックス線(光子)を出さず、別の電子が飛び出す現象です。
(5)は正しい。特性エックス線の波長は、元素固有のものなので、管電圧を上げても変わりません。ただし、管電圧を上げることでその強度(量)は増加します。



問3 エックス線装置について、次のAからDのように条件を変化させるとき、発生する連続エックス線の全強度を大きくするものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 管電流は一定にして、管電圧を2倍にする。
B 管電圧は1/2にして、管電流を2倍にする。
C 管電圧は2倍にして、管電流を1/2にする。
D 管電圧及び管電流は一定にして、ターゲットを原子番号のより大きな元素にする。

(1)A,B
(2)A,C
(3)A,C,D
(4)B,C,D
(5)B,D


答え(3)
Aは正しい。管電圧を2倍 → 強度は4倍。
Bは誤り。管電圧を1/2 → 強度は1/4、管電流を2倍 → 強度は2倍 ⇒ 合計で1/2。
Cは正しい。電圧を2倍 → 強度は4倍、管電流を1/2 → 強度は1/2 ⇒ 合計で2倍。
Dは正しい。ターゲットを原子番号の大きい元素にすることで強度は大きくなります。



問4 エックス線と物質との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)レイリー散乱により散乱されたエックス線の波長は、入射エックス線の波長より長くなる。
(2)光電効果が生じる確率は、入射エックス線のエネルギーが増大すると、コンプトン効果に比べて急激に低下する。
(3)光電効果により原子から放出される電子の運動エネルギーは、入射エックス線のエネルギーに等しい。
(4)コンプトン効果とは、原子のK殻、L殻等の内殻電子がエックス線光子のエネルギーの一部を吸収して原子の外に飛び出し、入射エックス線が散乱される現象である。
(5)コンプトン効果によるエックス線の散乱は、入射エックス線のエネルギーが高くなると、前方より後方に多く生じるようになる。


答え(2)
(1)は誤り。レイリー散乱では、エックス線が原子と衝突したとき、その前後でエックス線のエネルギーは変わらず、方向だけが変わります。したがって、散乱エックス線の波長は、入射エックス線の波長と同じ長さになります。
(2)は正しい。
(3)は誤り。光子のエネルギー全てが運動エネルギーになるのではなく、束縛エネルギーが差し引かれた分が運動エネルギーになります。
(4)は誤り。コンプトン効果外殻電子との相互作用です。内殻では、光電効果が支配的になります。
(5)は誤り。コンプトン効果で発生する散乱線は、入射エックス線のエネルギーが高くなると、後方より前方に多く生じるようになります。



問5 単一エネルギーで太い線束のエックス線が物質を透過するときの減弱及び再生係数(ビルドアップ係数)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)再生係数は、入射エックス線のエネルギーや物質の種類によって異なる。
(2)再生係数は、物質への照射面積が大きいほど大きくなる。
(3)再生係数は、物質の厚さが薄くなるほど小さくなる。
(4)再生係数は、透過後、物質から離れるほど小さくなり、その値は1に近づく。
(5)再生係数は、入射エックス線の線量率が高くなるほど小さくなる。


答え(5)
(1)は正しい。再生係数は入射エックス線のエネルギーや物質の特性に依存します。
(2)は正しい。照射面積が大きいほど散乱線の影響が大きくなり、再生係数が増加します。
(3)は正しい。物質が薄くなると、散乱線の影響が減少し、、再生係数は小さくなります。
(4)は正しい。物質から離れるほど散乱線の影響が減少し、再生係数は1に近づきます。
(5)は誤り。線量率が高いこと自体は、再生係数の大きさに直接関係しません



問6 エックス線を利用した各種試験装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)蛍光エックス線分析装置は、物質を透過したエックス線を蛍光体を塗布した板の上に当てたときにできる蛍光像を観察することによって、物質の欠陥の程度などを識別する装置である。
(2)エックス線マイクロアナライザーは、細く絞った電子線束を試料の微小部分に照射し、発生する特性エックス線を分光することによって、微小部分の元素を分析する装置である。
(3)エックス線回折装置は、結晶質の物質にエックス線を照射すると特有の回折像が得られることを利用して、物質の結晶構造を解析し、物質の性質を調べる装置である。
(4)エックス線応力測定装置は、応力による結晶の面間隔の変化をエックス線の回折を利用して調べることにより、物質内の残留応力の大きさを測定する装置である。
(5)散乱型厚さ計は、被検査物体にエックス線を照射したときに発生する後方散乱線の強度が、被検査物体の厚さに応じて変化することを利用した装置である。


答え(1)
(1)は誤り。蛍光エックス線分析装置は、試料にエックス線を照射して発生した特性エックス線(蛍光エックス線)の波長を分析し、又はエネルギーを測定することによって、元素分析を行う装置です。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問7 エックス線の散乱に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「エックス線装置を用い、管電圧100kVで、厚さが20mmの鋼板及びアルミニウム板のそれぞれにエックス線のビームを垂直に照射し、散乱角135°の方向の後方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定してその大きさを比較したところ、[ A ]の後方散乱線の方が大きかった。
次に、同じ照射条件で、鋼板について、散乱角120°及び135°の方向の後方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定し、その大きさを比較したところ、[ B ]の方向の方が大きかった。
また、同じ照射条件で、鋼板について、散乱角30°及び60°の方向の前方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定し、その大きさを比較したところ、[ C ]の方向の方が大きかった。」

(1)A:鋼板       B:120°  C:60°
(2)A:鋼板       B:135°  C:30°
(3)A:鋼板       B:135°  C:60°
(4)A:アルミニウム板  B:120°  C:60°
(5)A:アルミニウム板  B:135°  C:30°


答え(5)
「エックス線装置を用い、管電圧100kVで、厚さが20mmの鋼板及びアルミニウム板のそれぞれにエックス線のビームを垂直に照射し、散乱角135°の方向の後方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定してその大きさを比較したところ、[ アルミニウム板 ]の後方散乱線の方が大きかった。
次に、同じ照射条件で、鋼板について、散乱角120°及び135°の方向の後方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定し、その大きさを比較したところ、[ 135° ]の方向の方が大きかった。
また、同じ照射条件で、鋼板について、散乱角30°及び60°の方向の前方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定し、その大きさを比較したところ、[ 30° ]の方向の方が大きかった。」



問8 エックス線装置を用いて透過写真撮影を行う場合のエックス線の遮蔽及び散乱線の低減に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)遮蔽体には、原子番号が大きく、密度の高い物質を用いるのがよい。
(2)コンクリートの遮蔽体は、同程度の遮蔽効果を得るために鉛の約2倍の厚さが必要であるが、施工が容易で安価であるため広く用いられている。
(3)照射筒は、照射口に取り付けるラッパ状の遮蔽体で、エックス線束及び散乱線が外部へ漏えいしないようにするために用いる。
(4)絞りは、エックス線束の広がりを制限し、エックス線を必要な部分にだけ照射するために用いる。
(5)ろ過板は、軟エックス線を硬化させる。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。ある放射線源を遮へいする場合、コンクリートの遮へい体は、同程度の遮へい効果を得るために鉛の約9倍の厚さが必要になります(鉄であれば、鉛の約2.5倍の厚さが必要です。)。
ただし、コンクリートの遮蔽体は、施工が容易で安価であるため広く用いられています。



問9 図Ⅰのように、鋼板に垂直に細い線束のエックス線を照射し、エックス線管の焦点から5mの位置で、透過したエックス線の1cm線量当量率を測定したところ、64mSv/hであった。
次に図Ⅱのように、この線束を厚さ10mmの鋼板で遮蔽し、エックス線管の焦点から10mの位置で1cm線量当量率を測定したところ2mSv/hとなった。
この遮蔽鋼板を厚いものに替えて、この位置における1cm線量当量率を0.5mSv/h以下とするために必要な遮蔽鋼板の最小の厚さは次のうちどれか。
ただし、エックス線の実効エネルギーは変わらないものとする。また、散乱線の影響は無いものとする。

問9図

(1)14 mm
(2)17 mm
(3)20 mm
(4)23 mm
(5)27 mm


答え(2)
図Ⅰのエックス線管の焦点から5mの位置をP点とし、図Ⅱのエックス線管の焦点から10mの位置をQ点とします。
まず、P点(5mの位置)とQ点(10mの位置)では、距離が異なりますので、距離の逆二乗則(線量IQ/線量IP=距離P2/距離Q2)を用いて、P点(5mの位置)の1cm線量当量率を、Q点(10mの位置)の値に計算します。
P点(5mの位置)で、1cm線量当量率は64mSv/hですから、次のように計算します。

線量IQ/64[mSv/h]=52[m]/102[m]
線量IQ=25[m]×64[m]/100[mSv/h]
線量IQ=16[mSv/h]

続いて、鋼板の半価層hがわからないので、減弱の式(I=I0(1/2)x/h)を用いて、問題文で与えられた値と先ほど求めた1cm線量当量率から計算します。

2[mSv/h]=16[mSv/h](1/2)10[mm]/h[mm]
2[mSv/h]/16[mSv/h]=(1/2)10[mm]/h[mm]
(1/2)×(1/2)×(1/2)=(1/2)10[mm]/h[mm]
(1/2)3=(1/2)10[mm]/h[mm]

左辺と右辺は、(1/2)の部分が同じなので、指数の部分にも同じ数字が入ります。
指数の部分を抜き出して計算すると、次のようになります。

3=10[mm]/h[mm]
h≒3.3

つまり、鋼板の半価層hは3.3mmです。
続いて、「Q点(10mの位置)において、1cm線量当量率を0.5mSv/hとするために必要な遮へい鋼板の厚さx」を、減弱の式を使って求めます。

0.5[mSv/h]=16[mSv/h](1/2)x[mm]/3.3[mm]
0.5[mSv/h]/16[mSv/h]=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
0.5[mSv/h]/16[mSv/h]=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
(1/32)[mSv/h]=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)=(1/2)x[mm]/3.3[mm]
(1/2)5=(1/2)x[mm]/3.3[mm]

左辺と右辺は、(1/2)の部分が同じなので、指数の部分にも同じ数字が入ります。
指数の部分を抜き出して計算すると、次のようになります。

5=x[mm]/3.3[mm]
5×3.3[mm]=x[mm]
x[mm]=5×3.3[mm]
x[mm]=16.5[mm]

つまり、厚さ16.5mmの遮へい鋼板を使えば、透過後の1cm線量当量率を0.5mSv/hにすることができます。
最も近いものは、(2)17mmが正解です。



問10 下図のように、エックス線装置を用いて鋼板の透過写真撮影を行うとき、エックス線管の焦点から4mの距離のP点における写真撮影中の1cm線量当量率は0.4mSv/hである。
露出時間が1枚につき120秒の写真を週300枚撮影するとき、エックス線管の焦点とP点を通る直線上で焦点からP点の方向にあるQ点が管理区域の境界線の外側にあるようにしたい。焦点からQ点までの距離として、最も短いものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、3か月は13週とする。

問10図

(1)12 m
(2)17 m
(3)22 m
(4)26 m
(5)32 m


答え(4)
この問題は、図のQ点が管理区域の境界線の外側にあるとき、エックス線管の焦点からQ点までの最短距離を求めるものです。
なお、管理区域とは、3か月あたり1.3mSvを超えるおそれのある区域です。

まず、3か月当たりの全撮影時間を計算します。

全撮影時間=1枚当たりの露出時間×週の撮影枚数×3か月の週数
 =120/3,600[h/枚]×300[枚/週]×13[週/3か月]
 =130[h/3か月]

次に、P点における3か月当たりの線量当量を計算します。

線量当量=線量当量率×全撮影時間
 =0.4[mSv/h]×130[h/3か月]
 =52[mSv/3か月]

それでは、逆2乗則を使って、エックス線管焦点から管理区域の境界までの距離aを求めましょう。
逆2乗則は、強度が距離の2乗に反比例して減少する法則なので、次のような計算式で表されます。

強度A/強度B=距離b2/距離a2

1.3[mSv/3か月]/52[mSv/3か月]=42[m]/a2[m]
a2[m]=52[mSv/3か月]×42[m]/1.3[mSv/3か月]
a2[m]=52[mSv/3か月]×16[m]/1.3[mSv/3か月]
a2[m]=640[m]
a[m]≒25.3[m]

したがって、Q点が管理区域の境界線の外側にあり、焦点からQ点までの距離として、最も短いものは(4)26 mです。


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はじめまして。講師の奥田真史です。エックス線作業主任者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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