X線作業主任者の過去問の解説:測定(2025年10月)
ここでは、2025年(令和7年)10月公表の過去問のうち「エックス線の測定に関する知識(問21~問30)」について解説いたします。
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◆X線作業主任者の過去問の解説:管理(2025年10月)
◆X線作業主任者の過去問の解説:法令(2025年10月)
◆X線作業主任者の過去問の解説:測定(2025年10月)
◆X線作業主任者の過去問の解説:生体(2025年10月)
問21 放射線に関連した量とその単位の組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1)吸収線量 ………………………… Gy
(2)線減弱係数 ……………………… m-1
(3)カーマ …………………………… Gy
(4)粒子フルエンス ………………… J・m-2
(5)等価線量 ………………………… J・kg-1
(1)は正しい。吸収線量の単位は、J・kg-1、またはGyで表します。
(2)は正しい。線減弱係数(m-1)は、長さに対する減弱を表すため正しいです。
(3)は正しい。カーマの単位は、J・kg-1、またはGyで表します。
(4)は誤り。粒子フルエンスの単位は m-2が正しく、J・m-2は誤りです。
(5)は正しい。等価線量の単位は、J・kg-1、またはSvで表します。
問22 気体の電離を利用する放射線検出器の印加電圧と生じる電離電流の特性に対応した次のAからDの領域について、気体(ガス)増幅が生じ、検出器として利用されるものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 再結合領域
B 電離箱領域
C 比例計数管領域
D GM計数管領域
(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D
答え(5)
下の図は印加電圧(検出器に加える電圧)と検出器で発生する電子・イオン対の発生量を表したものです。
印加電圧と電子・イオン対の発生量に応じた特徴的な領域ごとに分類された名称があり、検出器は適切な印加電圧の範囲で使用します。

A 再結合領域では、電子・イオン対が再結合して電流にならないため、検出器に適していません。
B 電離箱領域では、気体増幅が起こりません。
C 比例計数管領域では、電離による一次電子が加速され気体増幅が起こります。
D GM計数管領域では、気体増幅がきわめて大きくなり、1つの放射線に対し大きな出力が得られます。
つまり、気体増幅を利用している領域は、比例計数管領域とGM計数管領域です。
問23 放射線検出器とそれに関係の深い用語との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
(1)電離箱 …………………………… 窒息現象
(2)比例計数管 ……………………… グロー曲線
(3)GM計数管 ………………………… 電子なだれ
(4)シンチレーション検出器 ……… G値
(5)半導体検出器 …………………… ラジオフォトルミネセンス
(1)は誤り。電離箱と関係の深い事項に、飽和領域、W値などがあります。また、窒息現象は、GM計数管と関係の深い事項です。
(2)は誤り。比例計数管と関係の深い事項に、気体増幅(ガス増幅)、電子なだれなどがあります。また、グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。
(3)は正しい。
(4)は誤り。シンチレーション検出器と関係の深い事項に、光電子増倍管、蛍光作用などがあります。また、G値は、化学線量計と関係の深い事項です。
(5)は誤り。半導体検出器と関係の深い事項に、空乏層、電子・正孔対などがあります。また、ラジオフォトルミネセンスは、蛍光ガラス線量計と関係の深い事項です。
問24 エックス線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)シンチレータとして用いられるヨウ化ナトリウム結晶は、微量のタリウムを含有させて活性化されている。
(2)シンチレータにエックス線が入射すると、可視領域の減衰時間の短い光が放射される。
(3)シンチレータから放射された光は、光電子増倍管の光電面で光電子に変換され、増倍された後、電流パルスとして出力される。
(4)光電子増倍管から得られる出力パルス波高は、入射エックス線の線量率に比例する。
(5)光電子増倍管の増倍率は、印加電圧に依存するので、光電子増倍管に印加する高圧電源は安定化する必要がある。
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。光電子増倍管の出カパルス波高は、入射エックス線のエネルギーに比例します。線量率には、比例しません。
問25 次のエックス線とその測定に用いるサーベイメータの組合せのうち、適切でないものはどれか。
(1)0.1μSv/h程度の線量率のエックス線
……… NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータ
(2)湿度の高い場所における100μSv/h程度の線量率のエックス線
……… GM計数管式サーベイメータ
(3)50mSv/h程度の線量率で、散乱線を多く含むエックス線
……… GM計数管式サーベイメータ
(4)100keV程度のエネルギーで、10μSv/h程度の線量率のエックス線
……… 半導体式サーベイメータ
(5)300keV程度のエネルギーで、10mSv/h程度の線量率のエックス線
……… 電離箱式サーベイメータ
(1)(2)(4)(5)は適切。
(3)は適切でない。50mSv/h程度の線量率で、散乱線を多く含むエックス線では、電離箱式サーベイメータを測定に用いるのが適切です。
GM計数管式サーベイメータは、高い線量率のエックス線や散乱線を多く含むエックス線の測定には向いていません。
問26 蛍光ガラス線量計に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)放射線により生成された蛍光中心が紫外線の照射によって発光する、輝尽性蛍光という現象を利用した線量計である。
(2)読み取り装置で線量を読み取ることによって蛍光中心が消えてしまうため、再度読み取ることはできない。
(3)線量計の素子間の感度のばらつきが少なく、また、フェーディングは極めて小さい。
(4)測定可能な線量の範囲は、熱ルミネセンス線量計より広く、0.1μSv~100Sv程度である。
(5)素子は、光学的アニーリングにより、再度使用することができる。
(1)は誤り。放射線により生成された蛍光中心が紫外線の照射によって発光する仕組みを、ラジオフォトルミネセンス現象といいます。輝尽性蛍光ではありません。
(2)は誤り。発光量を一度読み取った後も蛍光中心は消滅しないので、再度読み取ることができます。
(3)は正しい。
(4)は誤り。測定可能な線量の範囲は、蛍光ガラス線量計・熱ルミネセンス線量計ともに0.1mSv~10Sv程度とされています。蛍光ガラス線量計の方が、熱ルミネセンス線量計より広いというわけではありません。
(5)は誤り。素子は、高温下でアニーリング(約400 ℃で加熱処理)を行うことにより、再度使用することができます。
問27 放射線防護のための被ばく線量の算定に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 外部被ばくによる実効線量は、法令に基づき放射線測定器を装着した各部位の1cm線量当量及び70μm線量当量を用いて算定する。
B 皮膚の等価線量は、エックス線については70μm線量当量により算定する。
C 眼の水晶体の等価線量は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1cm線量当量、3mm線量当量又は70μm線量当量のうちいずれか適切なものにより算定する。
D 妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿(たい)部における70μm線量当量により算定する。
(1)A,B
(2)A,C
(3)A,D
(4)B,C
(5)B,D
Aは誤り。外部被ばくによる実効線量は、1cm線量当量により算定します。
Bは正しい。
Cは正しい。
Dは誤り。妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿(たい)部における1cm線量当量により算定します。
問28 放射線の測定などについての用語に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)半導体検出器において、放射線が半導体中で1個の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーをε値といい、シリコン結晶の場合は、約3.6eVである。
(2)GM計数管の動作特性曲線において、印加電圧を上げても計数率がほとんど変わらない範囲をプラトーといい、プラトー領域の印加電圧では、入射エックス線による一次電離量に比例した大きさの出力パルスが得られる。
(3)気体に放射線を照射したとき、1個のイオン対を作るのに必要な平均エネルギーをW値といい、気体の種類にあまり依存せず、放射線のエネルギーに応じてほぼ一定の値をとる。
(4)GM計数管が入射放射線により一度放電し、一時的に検出能力が失われた後、出力波高値が弁別レベルまで回復する時間を回復時間という。
(5)放射線測定器の指針が安定せず、ゆらぐ現象をフェーディングという。
(1)は正しい。
(2)は誤り。プラトーの説明は正しいです。ただし、GM計数管では、入射放射線による一次電離量とは無関係の大きさの出力パルスが得られます。「一次電離量に比例」ではありません。
(3)は誤り。W値は気体の種類に依存しますが、放射線エネルギーにはあまり依存しません。
(4)は誤り。出力波高値が弁別レベルまで回復する時間を分解時間といいます。「回復時間」ではありません。
(5)は誤り。フェーディングとは、線量の記録が時間経過とともに減衰することです。
問29 あるサーベイメータを用いて、時定数を2秒に設定し、エックス線を測定したところ、指示値は100(cps)を示した。
このとき、計数率の相対標準偏差に最も近い値は(1)~(5)のうちどれか。
ただし、積分回路の時定数Τ秒のサーベイメータを用いて線量を測定し、計数率n(cps)を得たとき、計数率の標準偏差σ(cps)は次式で示される。
(1) 1%
(2) 2%
(3) 3%
(4) 5%
(5)10%
答え(4)
標準偏差σ(シグマ)は、値のバラツキを表す指標です。
また、相対標準偏差は、バラツキの程度を表す指標で、標準偏差σを元の平均値(ここでは指示値)で割り、100を掛けて百分率で表したものです。
上式に、問題文の指示値100(cps)と時定数2秒を代入します。
したがって、(4) 5%が正解です。
問30 電離箱式サーベイメータを用い、積算1cm線量当量のレンジ(フルスケールは10μSv)を使用して、ある場所で、実効エネルギーが180keVのエックス線を測定したところ、フルスケールまで指針が振れるのに100秒かかった。
このときの1cm線量当量率に最も近い値は次のうちどれか。
ただし、測定に用いたこのサーベイメータの校正定数は、エックス線のエネルギーが120keVのときには0.85、250keVのときには0.98であり、このエネルギー範囲では、直線的に変化するものとする。
(1)310 μSv/h
(2)330 μSv/h
(3)360 μSv/h
(4)400 μSv/h
(5)450 μSv/h
答え(2)
この問題は線量当量から線量当量率を求め、エックス線のエネルギーに応じた校正定数を掛けて真の線量当量率を計算するものです。
まず、選択肢と単位を合わせるために、秒単位[s]を時間単位[h]に直しましょう。
100[s]÷60[s/min]=100/60[min]
100/60[min]÷60[min/h]=100/3,600[h]
※割り切れない場合は、分数のまま計算した方が後の計算式がスッキリします。
次に、線量当量率を求めますが、線量当量を時間で割って求めることができます。
10[μSv]÷100/3,600[h]=360[μSv/h]
線量当量率は、360[μSv/h]だとわかりました。
続いて、「実効エネルギーが180keVのエックス線」の校正定数を求めます。
問題文のただし書きで、校正定数は「120keVのときには0.85」「250keVのときには0.98」とありますので、180keVのときの校正定数をkとし、比の計算を行います。
(250[keV]-180[keV]):(250[keV]-120[keV])=(0.98-k):(0.98-0.85)
※左辺はエックス線のエネルギーの比で、右辺は校正定数の比です。
(250[keV]-120[keV])×(0.98-k)=(250[keV]-180[keV])×(0.98-0.85)
※比の計算では内側同士、外側同士の掛け算になります。
130×(0.98-k)=70×0.13
127.4-130k=9.1
-130k=9.1-127.4
-130k=-118.3
k=0.91
これで180keVのときの校正定数kは、0.91だとわかりました。
最後に先ほど求めた線量当量率360μSv/hに、校正定数0.91を掛けて真の線量当量率を計算します。
360[μSv/h]×0.91=327.6[μSv/h]
したがって、最も近い値は(2)330μSv/hが正解です。
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