X線作業主任者の過去問の解説:法令(2021年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:法令(2021年10月)

ここでは、2021年(令和3年)10月公表の過去問のうち「関係法令(問11~問20)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2021年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2021年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2021年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2021年10月)



問11 エックス線装置を使用する放射線業務従事者が管理区域内において外部被ばくを受けるとき、算定し記録しなければならない線量として、労働安全衛生関係法令上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、いずれの場合においても、放射線業務従事者は、緊急作業には従事しないものとする。

(1)5年間において、実効線量が1年間につき20mSvを超えたことのある男性の放射線業務従事者の実効線量については、6か月ごと及び5年ごとの合計
(2)5年間において、実効線量が1年間につき20mSvを超えたことのない男性の放射線業務従事者の実効線量については、1年ごと及び5年ごとの合計
(3)放射線業務従事者の人体の組織別の等価線量については、3か月ごと及び1年ごとの合計
(4)1か月間に受ける実効線量が1.7mSvを超えるおそれのある女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量については、1か月ごと及び1年ごとの合計
(5)妊娠中の女性の放射線業務従事者の腹部表面に受ける等価線量については、3か月ごと及び妊娠中の合計


答え(3)
(1)は誤り。この男性の放射線業務従事者の実効線量については、3か月ごと、1年ごと及び5年ごとの合計
(2)は誤り。この男性の放射線業務従事者の実効線量については、3か月ごと及び1年ごとの合計
(3)は正しい。
(4)は誤り。この女性の放射線業務従事者の実効線量については、1か月ごと、3か月ごと及び1年ごとの合計
(5)は誤り。妊娠中の女性の放射線業務従事者の腹部表面に受ける等価線量については、1か月ごと及び妊娠中の合計



問12 エックス線装置を取り扱う放射線業務従事者が管理区域内で受ける外部被ばくによる線量を測定するための、放射線測定器の装着に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、労働安全衛生関係法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が[ A ]であり、次に多い部位が[ B ]である男性の放射線業務従事者については、[ A ]、[ B ]及び[ C ]の計3箇所に、放射線測定器を装着させなければならない。」

(1)A:胸部 B:頭・頸(けい)部 C:腹・大腿(たい)部
(2)A:腹・大腿部 B:頭・頸部 C:胸部
(3)A:腹・大腿部 B:手指 C:胸部
(4)A:頭・頸部 B:胸部 C:腹・大腿部
(5)A:手指 B:腹・大腿部 C:胸部


答え(5)
問題文に「計3箇所に、放射線測定器を装着」とあります。
計3箇所に装着する場合は、必ず手指に装着することになります。
手指が入っている選択肢は(3)(5)のどちらかです。
また、手指は装着部位の中で、最も装着の優先度が低い部位なので、「最も多く放射線にさらされるおそれのある部位」が手指の場合には、装着が必要になります。
したがって、(5)A:手指、B:腹・大腿部、C:胸部が正解です。



問13 エックス線装置を用いて放射線業務を行う場合の管理区域に関する次の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、誤っているものはどれか。

(1)外部放射線による実効線量が3か月間につき1.3mSvを超えるおそれのある区域は、管理区域である。
(2)管理区域設定に当たっての外部放射線による実効線量の算定は、1cm線量当量及び70μm線量当量によって行うものとする。
(3)管理区域は、標識によって明示しなければならない。
(4)管理区域には、必要のある者以外の者を立ち入らせてはならない。
(5)管理区域内の労働者の見やすい場所に、外部被ばくによる線量を測定するための放射線測定器の装着に関する注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。管理区域設定に当たっての外部放射線による実効線量の算定は、1cm線量当量によって行うものとします。



問14 外部放射線の防護に関する次の措置のうち、電離放射線障害防止規則に違反しているものはどれか。

(1)装置の外側における外部放射線による1cm線量当量率が20μSv/hを超えないように遮へいされた構造のエックス線装置を、放射線装置室以外の室に設置して使用している。
(2)放射線装置室については、遮へい壁等の遮へい物を設け、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量が、1週間につき5mSvを超えないように管理しており、平均4mSv程度となっている。
(3)特定エックス線装置を用いて作業を行うとき、照射筒又はしぼりを用いると装置の使用の目的が妨げられるので、どちらも使用していない。
(4)管電圧130kVのエックス線装置を放射線装置室に設置して使用するとき、装置に電力が供給されている旨を関係者に周知させる措置として、手動の表示灯を用いている。
(5)特定エックス線装置を用いて透視を行うとき、定格管電流の2倍以上の電流がエックス線管に通じると、直ちに、エックス線管回路が開放位になる自動装置を設けている。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は違反している。事業者は、放射線装置室について遮へい壁、防護つい立てその他の遮へい物を設け、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量が、1週間につき1mSvを超えないようにしなければなりません。



問15 放射線業務従事者の被ばく限度として、労働安全衛生関係法令上、誤っているものは次のうちどれか。

(1)緊急作業に従事しない男性の放射線業務従事者が受ける実効線量の限度
……… 5年間に100mSv、かつ、1年間に50mSv
(2)緊急作業に従事しない女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び妊娠と診断されたものを除く。)が受ける実効線量の限度
……… 3か月間に5mSv
(3)男性の放射線業務従事者が緊急作業に従事する間に皮膚に受ける等価線量の限度
……… 1Sv
(4)男性の放射線業務従事者が緊急作業(特例緊急作業を除く。)に従事する間に受ける実効線量の限度
……… 250mSv
(5)妊娠と診断された女性の放射線業務従事者が腹部表面に受ける等価線量の限度
……… 妊娠と診断されたときから出産までの間に2mSv


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。男性の放射線業務従事者が緊急作業に従事する間に受ける実効線量の限度は、100mSvです。

「眼の水晶体に受ける等価線量の限度」について、法改正がありました。
【改正前】1年間に150mSv
【改正後】5年間につき100mSvおよび1年間につき50mSv

改正日は令和2年4月1日で、施行日は令和3年4月1日です。
またこれに関連する他の内容についても改正されています。
施行日以降は、新基準での解答が求められますのでご注意ください。

【関連記事】法令改正による眼の被ばく限度の引き下げ等について



問16 エックス線装置を用いて放射線業務を行う作業場の作業環境測定に関する次の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、正しいものはどれか。

(1)測定は、1cm線量当量率(又は1cm線量当量)及び70μm線量当量率(又は70μm線量当量)について、行わなければならない。
(2)線量当量率又は線量当量は、いかなる場合も、放射線測定器を用いて測定することが必要であり、計算によって算出してはならない。
(3)測定を行ったときは、測定日時、測定方法及び測定結果のほか、測定を実施した者の氏名及びその有する資格について、記録しなければならない。
(4)測定を行ったときは、その結果を見やすい場所に掲示する等の方法により、管理区域に立ち入る労働者に周知させなければならない。
(5)測定を行ったときは、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。


答え(4)
(1)は誤り。測定は、原則1cm線量当量率または1cm線量当量について行うものとします。
(2)は誤り。管理区域において、外部放射線による線量当量率または線量当量を、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難なときは、計算により算出することができます
(3)は誤り。エックス線の作業環境測定を実施するに当たり、エックス線作業主任者免許など必要な資格はありませんので、測定実施者の有する資格などは、記録する必要がありません
(4)は正しい。
(5)は誤り。測定結果を所轄労働基準監督署長に報告することは、法令に規定されていません。



問17 エックス線装置を用いる放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対して行う電離放射線健康診断(以下「健康診断」という。)について、電離放射線障害防止規則に違反していないものは次のうちどれか。

(1)放射線業務に配置替えの際に行う健康診断において、被ばく歴のない労働者に対し、「皮膚の検査」を省略している。
(2)定期の健康診断において、その実施日の前6か月間に受けた実効線量が5mSvを超えず、かつ、その後6か月間に受ける実効線量が5mSvを超えるおそれのない労働者に対し、「白内障に関する眼の検査」を除く他の全ての項目を省略している。
(3)事業場において行った健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者について、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から6か月後に、医師の意見を聴いている。
(4)雇入れ又は放射線業務に配置替えの際に行った健康診断については、電離放射線健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出していない。
(5)健康診断の結果に基づき、電離放射線健康診断個人票を作成し、3年間保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡している。


答え(4)
(1)は違反している。雇入れまたは放射線業務に配置替えの際に行う電離放射線健康診断において、使用する線源の種類等に応じて、白内障に関する眼の検査を省略することができます。放射線業務に配置替えの際に行う健康診断において、皮膚の検査は省略できません。
(2)は違反している。定期に行う電離放射線健康診断において、当該健康診断実施日の属する年の前年1年間に受けた実効線量が5mSvを超えず、かつ、当該健康診断実施日の属する1年間に受ける実効線量が5mSvを超えるおそれのない者に対し、医師が必要と認めないときは、被ばく歴の有無の調査およびその評価を除く他の検査項目の全部または一部を、行う必要はありません。
(3)は違反している。電離放射線健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、電離放射線健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければなりません。
(4)は正しい。
(5)は違反している。当該記録を5年間保存した後は、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すことができます。



問18 次のAからEの事項について、電離放射線障害防止規則において、エックス線作業主任者の職務として規定されているものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 管理区域における外部放射線による線量当量について、作業環境測定を行うこと。
B 外部放射線を測定するための放射線測定器について、1年以内ごとに校正すること。
C 照射開始前及び照射中に、労働者が立入禁止区域に立ち入っていないことを確認すること。
D 作業環境測定の結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る労働者に周知させること。
E 管理区域の標識が法令の規定に適合して設けられるように措置すること。

(1)A,B
(2)A,D
(3)B,C,E
(4)C,D,E
(5)C,E


答え(5)
Aは、職務として規定されていません。作業環境測定は、測定の知識、経験を持つ者が実施するのが望ましいとされています。
Bは、職務として規定されていません。校正は自社で行うこともありますが、校正機関に依頼することもあります。
Dは、職務として規定されていません。作業環境測定の実施のほか、測定結果の周知についても、エックス線作業主任者の職務として規定されていません。
C,Eは、職務として規定されています。



問19 次のAからDの場合について、労働安全衛生関係法令上、所轄労働基準監督署長にその旨又はその結果を報告しなければならないものに該当しないものの全ての組合せは、(1)~(5)のうちどれか。

A 放射線装置室を設置し、又はその使用を廃止した場合
B 管理区域に係る作業環境測定の測定結果に基づいて記録を作成した場合
C 放射線装置室内の遮へい物がエックス線の照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止することが困難な事故が発生した場合
D エックス線による非破壊検査業務に従事する労働者5人を含めて40人の労働者を常時使用する事業場において、法令に基づく定期の電離放射線健康診断を行った場合

(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,C,D
(4)B,D
(5)C,D


答え(1)
A,Bは報告する必要はない。
Cは報告しなければならない。このような事故が起こった場合、速やかに報告しなければなりません。
Dは報告しなければならない。定期の電離放射線健康診断を実施した場合は、労働者数にかかわらず報告が必要です。



問20 エックス線装置を用いて行う透過写真撮影の業務に従事する労働者25人を含めて400人の労働者を常時使用する製造業の事業場の安全衛生管理体制について、労働安全衛生関係法令に違反しているものはどれか。
ただし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。

(1)衛生管理者を2人選任している。
(2)総括安全衛生管理者を選任していない。
(3)選任している衛生管理者のうち1人は、この事業場に専属でない労働衛生コンサルタントである。
(4)産業医は、事業場に専属の者ではないが、産業医としての法定の要件を満たしている医師である。
(5)選任している衛生管理者は、いずれも衛生工学衛生管理者の免許を有していない。


答え(2)
(1)は正しい。常時200人を超え500人以下の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を2人以上選任しなければなりません。
(2)は違反している。製造業で、常時300人以上の労働者を使用する事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければなりません。
(3)は正しい。衛生管理者を2人以上選任する場合において、そのうち1人については、事業場に専属でない労働衛生コンサルタントでも構いません。
(4)は正しい。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、法定の要件を満たしている産業医を選任しなければなりません。また、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場またはエックス線にさらされる業務や深夜業を含む業務などに、常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。
(5)は正しい。500人を超える労働者を常時使用する事業場で、エックス線業務に常時従事する労働者が30人以上いる場合は、衛生管理者のうちの1人は、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければなりません。

講師のご紹介

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はじめまして。講師の奥田真史です。エックス線作業主任者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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