X線作業主任者の過去問の解説:法令(2022年4月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:法令(2022年4月)

ここでは、2022年(令和4年)4月公表の過去問のうち「関係法令(問11~問20)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2022年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2022年4月)
◆X線作業主任者の過去問の解説:測定(2022年4月)
◆X線作業主任者の過去問の解説:生体(2022年4月)



問11 エックス線装置を使用する放射線業務従事者が管理区域内において外部被ばくを受けるとき、算定し記録しなければならない線量として、労働安全衛生関係法令上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、いずれの場合においても、放射線業務従事者は、緊急作業には従事しないものとする。

(1)5年間において、実効線量が1年間につき20mSvを超えたことのある男性の放射線業務従事者の実効線量については、6か月ごと及び5年ごとの合計
(2)5年間において、実効線量が1年間につき20mSvを超えたことのない男性の放射線業務従事者の実効線量については、1年ごと及び5年ごとの合計
(3)1か月間に受ける実効線量が1.7mSvを超えるおそれのある女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量については、3か月ごと及び1年ごとの合計
(4)放射線業務従事者の皮膚に受けた等価線量については、3か月ごと及び1年ごとの合計
(5)妊娠中の女性の放射線業務従事者の腹部表面に受ける等価線量については、3か月ごと及び妊娠中の合計


答え(4)
(1)は誤り。この男性の放射線業務従事者の実効線量については、3か月ごと、1年ごと及び5年ごとの合計
(2)は誤り。この男性の放射線業務従事者の実効線量については、3か月ごと及び1年ごとの合計
(3)は誤り。この女性の放射線業務従事者の実効線量については、1か月ごと、3か月ごと及び1年ごとの合計
(4)は正しい。
(5)は誤り。妊娠中の女性の放射線業務従事者の腹部表面に受ける等価線量については、1か月ごと及び妊娠中の合計



問12 エックス線装置を取り扱う放射線業務従事者が管理区域内で受ける外部被ばくによる線量の測定に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、労働安全衛生関係法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が[ A ]であり、次に多い部位が[ B ]である作業を行う場合、男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については頭・頸(けい)部及び胸部に、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)については[ C ]に、放射線測定器を装着させて線量の測定を行わなければならない。」

(1)A:手指 B:頭・頸部 C:胸部及び腹部
(2)A:胸部 B:頭・頸部 C:胸部及び腹部
(3)A:胸部 B:頭・頸部 C:胸部、頭・頸部及び腹部
(4)A:頭・頸部 B:手指 C:頭・頸部及び腹部
(5)A:頭・頸部 B:手指 C:頭・頸部、腹部及び手指


答え(4)
問題文では、男性は、「頭・頸部及び胸部」の計2箇所に装着とあります。
選択肢(1)では、手指にも装着が必要になるので、誤りです。
また、選択肢(2)(3)は、胸部の1箇所にのみ装着することになるので、これも誤りです。
つまり、選択肢(4)(5)の「A:頭・頸部」「B:手指」が適切となります。
この場合、女性も手指への装着が不要ですので、(4)「C:頭・頸部及び腹部」が正解です。



問13 外部放射線の防護に関する次の措置のうち、電離放射線障害防止規則に違反しているものはどれか。

(1)装置の外側における外部放射線による1cm線量当量率が20μSv/hを超えないように遮へいされた構造のエックス線装置を、放射線装置室以外の室に設置して使用している。
(2)放射線装置室については、遮へい壁等の遮へい物を設け、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量が、1週間につき5mSvを超えないように管理しており、平均4mSv程度となっている。
(3)特定エックス線装置を使用して作業を行うとき、作業の性質上軟線を利用しなければならないので、ろ過板を用いていない。
(4)管電圧250kVのエックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用するとき、装置に電力が供給されている旨を関係者に周知させる措置として、手動の表示灯を用いている。
(5)特定エックス線装置を用いて透視を行うとき、定格管電流の2倍以上の電流がエックス線管に通じると、直ちに、エックス線管回路が開放位になる自動装置を設けている。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は違反している。事業者は、放射線装置室について遮へい壁、防護つい立てその他の遮へい物を設け、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量が、1週間につき1mSvを超えないようにしなければなりません。



問14 エックス線装置構造規格において、工業用等のエックス線装置のエックス線管に関する規定について、次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「コンデンサ式高電圧装置を有する工業用等のエックス線装置のエックス線管は、波高値による定格管電圧が200kV未満のエックス線装置では、[ A ]の距離における利用線錐(すい)以外の部分のエックス線の空気カーマ率が2.6mGy/h以下になるように、かつ、コンデンサ式高電圧装置の充電状態であって、照射時以外のとき、[ B ]の距離におけるエックス線の空気カーマ率が[ C ]μGy/h以下になるように、遮へいされているものでなければならない。」

(1)A:エックス線装置の接触可能表面から5cm B:エックス線装置の接触可能表面から5cm C:10
(2)A:エックス線装置の接触可能表面から5cm B:エックス線管の焦点から1m C:20
(3)A:エックス線管の焦点から1m B:エックス線装置の接触可能表面から5cm C:10
(4)A:エックス線管の焦点から1m B:エックス線装置の接触可能表面から5cm C:20
(5)A:エックス線管の焦点から1m B:エックス線管の焦点から1m C:10


答え(4)
「コンデンサ式高電圧装置を有する工業用等のエックス線装置のエックス線管は、波高値による定格管電圧が200kV未満のエックス線装置では、[ エックス線管の焦点から1m ]の距離における利用線錐(すい)以外の部分のエックス線の空気カーマ率が2.6mGy/h以下になるように、かつ、コンデンサ式高電圧装置の充電状態であって、照射時以外のとき、[ エックス線装置の接触可能表面から5cm ]の距離におけるエックス線の空気カーマ率が[ 20 ]μGy/h以下になるように、遮へいされているものでなければならない。」
コンデンサ式のエックス線装置とは、充電したバッテリーから電力を得て、エックス線を照射する装置のことです。
移動させて使用する場合などは、コンデンサ式のエックス線装置が活躍することがあります。



問15 次のAからEの事項について、電離放射線障害防止規則において、エックス線作業主任者の職務として規定されているものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A エックス線装置を用いて行う透過写真撮影の業務に従事する労働者に対し、特別の教育を行うこと。
B 外部放射線を測定するための放射線測定器について、1年以内ごとに校正すること。
C 放射線業務従事者の受ける線量ができるだけ少なくなるように照射条件等を調整すること。
D 作業環境測定の結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る労働者に周知させること。
E 外部被ばく線量を測定するための放射線測定器が法令の規定に適合して装着されているかどうかについて点検すること。

(1)A,B
(2)A,D
(3)B,D,E
(4)C,D,E
(5)C,E


答え(5)
C,Eは、職務として規定されています。
Aの特別の教育を行うことは、事業者の責務です。
Bの放射線測定器の校正をすること、Dの作業環境測定の結果を管理区域に立ち入る労働者に周知させることは、放射線測定について知識のある者が行うのが望ましいでしょう。



問16 放射線装置室内でエックス線の照射中に、遮へい物が破損し、かつ、直ちに照射を停止することが困難である事故が発生し、事故によって受ける実効線量が15mSvを超えるおそれのある区域が生じた。
このとき講じた次のAからDの措置について、労働安全衛生関係法令上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 当該区域を標識によって明示した。
B 放射線業務従事者を除き、労働者の当該区域への立入りを禁止した。
C 事故が発生したとき、速やかに、その旨を所轄労働基準監督署長に報告した。
D 事故が発生したとき当該区域内にいた労働者については、事故によって受ける実効線量が15mSvを超えるおそれのない者を除き、速やかに、医師の診察又は処置を受けさせた。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(2)
A,Cは正しい。
Bは誤り。労働者をこの事故の区域に立ち入らせてはなりません。ただし、緊急作業に従事させる労働者については、立ち入らせてもよいことになっています。
Dは誤り。事故が発生したとき事故の区域内にいた労働者は、被ばく線量に関わらず、速やかに、医師の診察又は処置を受けさせなければなりません。



問17 エックス線装置を用いて放射線業務を行う作業場の作業環境測定に関する次の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、正しいものはどれか。

(1)測定は、1cm線量当量率又は1cm線量当量について行うものとするが、70μm線量当量率が1cm線量当量率の10倍を超えるおそれがある場所又は70μm線量当量が1cm線量当量の 10倍を超えるおそれのある場所においては、それぞれ70μm線量当量率又は70μm線量当量について、行わなければならない。
(2)線量当量率又は線量当量は、いかなる場合も、放射線測定器を用いて測定することが必要であり、計算によって算出してはならない。
(3)測定を行ったときは、測定日時、測定方法及び測定結果のほか、測定を実施した者の氏名及びその有する資格について、記録しなければならない。
(4)測定を行ったときは、測定日時、測定方法、測定結果等法定の事項を記録し、30年間保存しなければならない。
(5)測定を行ったときは、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。


答え(1)
(1)は正しい。
(2)は誤り。管理区域において、外部放射線による線量当量率または線量当量を、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難なときは、計算により算出することができます
(3)は誤り。エックス線の作業環境測定を実施するに当たり、エックス線作業主任者免許など必要な資格はありませんので、測定実施者の有する資格などは、記録する必要がありません
(4)は誤り。作業環境測定結果の記録の保存期間は5年間です。
(5)は誤り。測定結果を所轄労働基準監督署長に報告することは、法令に規定されていません



問18 電離放射線健康診断(以下「健康診断」という。)の実施について、労働安全衛生関係法令に違反しているものは次のうちどれか。

(1)雇入れの際の健康診断において、使用する線源の種類等に応じて「白内障に関する眼の検査」を省略している。
(2)放射線業務に配置替えの際に行う健康診断において、被ばく歴のない労働者に対し、医師が必要と認めなかったので、「赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査」を省略している。
(3)定期の健康診断において、医師が必要でないと認めた労働者に対し、「被ばく歴の有無の調査及びその評価」を除く他の全ての項目を省略している。
(4)健康診断の結果、健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者以外の労働者については、健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴いていない。
(5)定期の健康診断を行ったときは、遅滞なく、電離放射線健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しているが、雇入れ又は放射線業務に配置替えの際に行った健康診断については提出していない。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は違反している。雇入れまたは放射線業務に配置替えの際に行う電離放射線健康診断において、使用する線源の種類等に応じて、白内障に関する眼の検査を省略することができます。



問19 次のAからDの場合について、労働安全衛生関係法令上、所轄労働基準監督署長にその旨又はその結果を報告しなければならないものに該当しないものの全ての組合せは、(1)~(5)のうちどれか。

A 放射線装置室の使用を廃止したとき。
B エックス線装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に関する特別の教育を行ったとき。
C 衛生管理者を選任したとき。
D 眼の水晶体に受ける等価線量が1年間に50mSvを超える労働者がいたとき。

(1)A,B
(2)A,B,C
(3)A,C,D
(4)B,D
(5)C,D


答え(1)
A,Bは該当しない。
Cは報告しなければならない。衛生管理者のほか、総括安全衛生管理者、安全管理者、産業医を選任したときにも、所轄労働基準監督署長に所定の選任報告書を提出しなければなりません。
Dは報告しなければならない。放射線業務従事者が、通常作業時の被ばく限度を超えて実効線量、または等価線量を受けた場合(緊急作業の場合も含む。)は、所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。



問20 エックス線照射装置を用いて行う透過写真撮影の業務に常時従事する労働者20人を含めて1,200人の労働者を常時使用する製造業の事業場の安全衛生管理体制として、法令上、選任しなければならないものに該当しないものは次のうちどれか。
ただし、当該業務以外の有害業務に従事する者はいないものとする。

(1)総括安全衛生管理者
(2)専属の産業医
(3)4人以上の衛生管理者
(4)専任の衛生管理者
(5)衛生工学衛生管理者免許を有する衛生管理者


答え(5)
(1)は正しい。製造業で、常時300人以上の労働者を使用する事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければなりません。
(2)は正しい。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、法定の要件を満たしている産業医を選任しなければなりません。また、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場またはエックス線にさらされる業務や深夜業を含む業務などに、常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。
(3)は正しい。常時1,000人を超え2,000人以下の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を4人以上選任しなければなりません。
(4)は正しい。常時1,000人を超える労働者を使用する事業場、または常時500人を超える労働者を使用する事業場で、エックス線業務に常時従事する労働者が30人以上いる場合は、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければなりません。
(5)は該当しない。常時500人を超える労働者を常時使用する事業場で、エックス線業務に常時従事する労働者が30人以上いる場合は、衛生管理者のうちの1人は、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければなりません。選択肢では、エックス線業務に常時従事する労働者が20人とありますので、衛生工学衛生管理者免許を有する衛生管理者を選任する必要はありません。

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はじめまして。講師の奥田真史です。エックス線作業主任者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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