X線作業主任者の過去問の解説:測定(2017年4月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:測定(2017年4月)

ここでは、2017年(平成29年)4月公表の過去問のうち「エックス線の測定に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2017年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2017年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2017年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2017年4月)



問1 放射線の量とその単位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)カーマは、電離放射線の照射により、単位質量の物質中に生成された荷電粒子の電荷の総和であり、単位としてGyが用いられる。
(2)吸収線量は、電離放射線の照射により単位質量の物質に付与されたエネルギーであり、単位としてGyが用いられる。
(3)等価線量は、人体の特定の組織・臓器当たりの吸収線量に、放射線の種類とエネルギーに応じて定められた放射線加重係数を乗じたもので、単位としてSvが用いられる。
(4)実効線量は、人体の各組織・臓器が受けた等価線量に、各組織・臓器の相対的な放射線感受性を示す組織加重係数を乗じ、これらを合計したもので、単位としてSvが用いられる。
(5)電子ボルト(eV)は、放射線のエネルギーの単位として使用され、1 eVは約1.6×10-19Jに相当する。


答え(1)
(1)は誤り。カーマは、選択肢のような「電荷の総和」ではありません。カーマとは、エックス線などの間接電離放射線の照射により、物質の単位質量中に生じた全荷電粒子の初期運動エネルギーの総和です。単位はJ/kgで、その特別な名称としてGy(グレイ)が用いられます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問2 放射線防護のための被ばく線量の算定に関する次のAからDまでの記述について、正しいものすべての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 眼の水晶体の等価線量は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1cm線量当量又は70μm線量当量のうち、いずれか適切なものにより算定する。
B 皮膚の等価線量は、エックス線については1cm線量当量により算定する。
C 外部被ばくによる実効線量は、1cm線量当量により算定する。
D 妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿(たい)部における70μm線量当量により算定する。

(1)A,B
(2)A,C
(3)A,C,D
(4)B,C,D
(5)B,D


答え(2)
Aは正しい。眼の水晶体の等価線量→1cm線量当量又は70μm線量当量。
Bは誤り。皮膚の等価線量→70μm線量当量。
Cは正しい。外部被ばくによる実効線量→1cm線量当量。
Dは誤り。妊娠中の女性の腹部表面の等価線量→1cm線量当量。



問3 放射線検出器とそれに関係の深い事項との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

(1)電離箱 …………………………… ガス増幅
(2)比例計数管 ……………………… 窒息現象
(3)GM計数管 ………………………… グロー曲線
(4)シンチレーション検出器 ……… G値
(5)半導体検出器 …………………… 空乏層


答え(5)
(1)は誤り。電離箱と関係の深い事項として、W値や飽和領域などがあります。
(2)は誤り。比例計数管と関係の深い事項として、ガス増幅、電子なだれなどがあります。
(3)は誤り。GM計数管と関係の深い事項として、ガス増幅、電子なだれ、窒息現象、消滅(クエンチング)ガス、プラトーなどがあります。なお、グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。
(4)は誤り。シンチレーション検出器と関係の深い事項として、光電子増倍管、蛍光作用などがあります。なお、G値は、化学線量計と関係の深い事項です。
(5)は正しい。半導体検出器と関係の深い事項として、空乏層のほか、電子・正孔対、ε値(イプシロンち)などがあります。



問4 蛍光ガラス線量計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)線量計の素子には銀活性リン酸塩ガラスを用いる。
(2)放射線により生成された蛍光中心に紫外線を当てて、発生するオレンジ色の蛍光の強さから線量を求める。
(3)読み取り装置で線量を読み取ることによって蛍光中心が消えてしまうため、再度読み取ることはできない。
(4)線量計の素子は、使用後、高温下でのアニーリングにより、繰り返し使用することができる。
(5)線量計の素子間の感度のばらつきが少なく、また、フェーディングは極めて小さい。


答え(3)
(3)は誤り。蛍光ガラス線量計は、何度でも読み取りが行えます。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問5 エックス線の測定に用いるサーベイメータに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータは、感度が良く、自然放射線レベルの低線量率の放射線も検出することができるので、施設周辺の微弱な漏えい線の有無を調べるのに適している。
(2)電離箱式サーベイメータは、取扱いが容易で、測定可能な線量の範囲が広いが、他のサーベイメータに比べ方向依存性が大きく、また、バックグラウンド値が大きい。
(3)GM計数管式サーベイメータは、方向依存性が小さく、線量率は500mSv/h程度まで効率良く測定できる。
(4)GM計数管式サーベイメータは、他のサーベイメータに比べエネルギー依存性は小さいが、湿度の影響を受けやすく、安定性が十分でない。
(5)半導体式サーベイメータは、エネルギー依存性が小さく、30keV以下の低エネルギーのエックス線の測定に適している。


答え(1)
(1)は正しい。NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータは、高感度で微弱な線量率でも測定可能です。
(2)は誤り。電離箱式サーベイメータは、使用や保管環境中の湿度の影響を受けやすく取扱いに注意が必要です。測定可能な線量の範囲は広く、他のサーベイメータに比べ方向依存性が小さい長所があります。
(3)は誤り。GM計数管式サーベイメータは、他のサーベイメータに比べ方向依存性は大きいです。また、500mSv/h程度の高線量率の測定には向いていません。
(4)は誤り。GM計数管式サーベイメータは、他のサーベイメータに比べエネルギー依存性は大きいです。ただし、機器の保守や取扱いについては容易です。
(5)は誤り。半導体式サーベイメータは、30keV以下の低エネルギーのエックス線の測定には適していません。



問6 次のAからDまでの放射線測定器のうち、線量を読み取るための特別な装置を必要としないものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A フィルムバッジ
B PC型ポケット線量計
C PD型ポケット線量計
D 半導体式ポケット線量計

(1)A,B
(2)A,C
(3)A,D
(4)B,D
(5)C,D


答え(5)
Aは特別な装置が必要。フィルムバッジで線量を読み取るには、現像装置と濃度計が必要です。
Bは特別な装置が必要。PC型ポケット線量計で線量を読み取るには、専用リーダーが必要です。
C,Dは正しい。これらの線量計は、その場で線量を確認することができます。管理区域に一時的に立ち入る労働者等の線量測定に適しています。



問7 熱ルミネセンス線量計(TLD)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)加熱読み取り装置で線量を一度読み取った後、再度読み取ることはできない。
(2)加熱温度と熱蛍光強度との関係を示す曲線を、グロー曲線という。
(3)一度使用した素子は、アニーリングにより繰り返し使用することができない。
(4)フィルムバッジより測定可能な下限線量が小さく線量の測定範囲が広い。
(5)線量計の素子の感度には若干のばらつきがあるので、読み取り装置の校正を行う必要がある。


答え(3)
(3)は誤り。熱ルミネセンス線量計の素子は、高温にさらすアニーリングにより繰り返し使用することができます。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問8 放射線の測定などの用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)放射線計測において、測定しようとする放射線以外の、自然又は人工線源からの放射線を、バックグラウンド放射線という。
(2)半導体検出器において、荷電粒子が半導体中で1個の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーをε値といい、シリコンの場合は約3.6eV程度である。
(3)GM計数管が放射線の入射により一度作動し、一時的に検出能力が失われた後、出力波高値が正常の波高値にほぼ等しくなるまでに要する時間を回復時間という。
(4)入射放射線の線量率が低く、測定器の検出限界に達しないことにより計測されないことを数え落としという。
(5)GM計数管の特性曲線において、印加電圧を上げても計数率がほとんど変わらない範囲をプラトーといい、プラトーが長く、傾斜が小さいほど、計数管としての性能は良い。


答え(4)
(4)は誤り。数え落としとは、放射線を計数するときに分解時間内に入射した放射線は計数されずに、その分の計数値が減少することです。
(1)(2)(3)(5)は正しい。



問9 あるサーベイメータを用いて50秒間エックス線を測定し、3,200cpsの計数率を得た。
この計数率の標準偏差(cps)に最も近い値は、次のうちどれか。

(1)1.1
(2)8
(3)56
(4)64
(5)400


答え(2)
標準偏差とは、値のバラツキを表す指標の一つです。
たとえば、サーベイメータの計数値が0秒から1秒の1秒間では3,219だとしても、1秒から2秒の1秒間では3,193というようにバラツキが見られます。

それでは、なるべくわかりやすい解法で標準偏差を計算していきます。

まず、計数率の標準偏差(cps)を求めるに当たり、50秒間の計数値を求めます。

50[s]×3,200[cps]=160,000[c]

50秒間の計数値は、160,000cだと分かりました。
次に、50秒間の計数値の標準偏差を求めます。
サーベイメータを用いて放射線を測定した場合の計数値の標準偏差は、次の式で求められます。

標準偏差=√計数値

ここに先ほど求めた50秒間の計数値160,000cを代入すると次のようになります。

標準偏差=√160,000 [c]
 =400[c]

50秒間の計数値の標準偏差は、400cであることが分かりました。
求めたいのは、1秒間あたりの計数値の標準偏差、つまり計数率の標準偏差(cps)なので、400cを50sで割ります。

400[c]/50[s]=8[cps]

よって、この計数率の標準偏差(cps)は、(2)8cpsが正解です。



問10 電離箱式サーベイメータを用い、積算1cm線量当量のレンジ(フルスケールは10μSv)を使用して、ある場所で、実効エネルギーが180keVのエックス線を測定したところ、フルスケールまで指針が振れるのに100秒かかった。
このときの1cm線量当量率に最も近い値は次のうちどれか。
ただし、測定に用いたサーベイメータの校正定数は、エックス線のエネルギーが120keVのときには0.85、250keVのときには0.98であり、このエネルギー範囲では、直線的に変化するものとする。

(1)310μSv/h
(2)330μSv/h
(3)380μSv/h
(4)400μSv/h
(5)550μSv/h


答え(2)
この問題は線量当量から線量当量率を求め、エックス線のエネルギーに応じた校正定数を掛けて真の線量当量率を計算するものです。

まず、選択肢と単位を合わせるために、秒sを時間hに直しましょう。

100[s]÷60[s/min]=100/60[min]
100/60[min]÷60[min/h]=100/3,600[h]
※割り切れない場合は、分数のまま計算した方が後の計算式がスッキリします。

次に、線量当量率を求めますが、線量当量を時間で割って求めることができます。

10[μSv]÷100/3,600[h]=360[μSv/h]

線量当量率は、360[μSv/h]だとわかりました。

続いて、「実効エネルギーが180keVのエックス線」の校正定数を求めます。
問題文のただし書きで、校正定数は「120keVのときには0.85」「250keVのときには0.98」とありますので、180keVのときの校正定数をkとし、比の計算を行います。

(250[keV]-180[keV]):(250[keV]-120[keV])=(0.98-k):(0.98-0.85)
※左辺はエックス線のエネルギーの比で、右辺は校正定数の比です。

(250[keV]-120[keV])×(0.98-k)=(250[keV]-180[keV])×(0.98-0.85)
※比の計算では内側同士、外側同士の掛け算になります。

130×(0.98-k)=70×0.13
127.4-130k=9.1
-130k=9.1-127.4
-130k=-118.3
k=0.91

これで180keVのときの校正定数kは、0.91だとわかりました。

最後に先ほど求めた線量当量率360μSv/hに、校正定数0.91を掛けて真の線量当量率を計算します。

360[μSv/h]×0.91=327.6[μSv/h]

したがって、最も近い値は(2)330μSv/hが正解です。


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