X線作業主任者の過去問の解説:測定(2017年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:測定(2017年10月)

ここでは、2017年(平成29年)10月公表の過去問のうち「エックス線の測定に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2017年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2017年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2017年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2017年10月)



問1 放射線の量とその単位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)吸収線量は、電離放射線の照射により単位質量の物質に付与されたエネルギーであり、単位はGyが用いられる。
(2)カーマは、電離放射線の照射により、単位質量の物質中に生成された荷電粒子の電荷の総和であり、単位はGyが用いられる。
(3)等価線量は、人体の特定の組織・臓器当たりの吸収線量に、放射線の種類とエネルギーに応じて定められた放射線加重係数を乗じたもので、単位はSvが用いられる。
(4)実効線量は、人体の各組織・臓器が受けた等価線量に、各組織・臓器の相対的な放射線感受性を示す組織加重係数を乗じ、これらを合計したもので、単位はSvが用いられる。
(5)eV(電子ボルト)は、放射線のエネルギーの単位として用いられ、1 eVは約1.6×10-19Jに相当する。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。カーマは、選択肢のような「電荷の総和」ではありません。カーマとは、エックス線などの間接電離放射線の照射により、物質の単位質量中に生じた全荷電粒子の初期運動エネルギーの総和です。単位はJ/kgで、その特別な名称としてGy(グレイ)が用いられます。



問2 放射線防護のための被ばく線量の算定に関する次のAからDまでの記述について、正しいもののすべての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 外部被ばくによる実効線量は、法令に基づき放射線測定器を装着した各部位の1cm線量当量及び70μm線量当量を用いて算定する。
B 皮膚の等価線量は、エックス線については1cm線量当量により算定する。
C 眼の水晶体の等価線量は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1cm線量当量又は70μm線量当量のうちいずれか適切なものにより算定する。
D 妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿部における1cm線量当量により算定する。

(1)A,B,C
(2)A,B,D
(3)A,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(5)
Aは誤り。外部被ばくによる実効線量→1cm線量当量。
Bは誤り。皮膚の等価線量→70μm線量当量。
Cは正しい。眼の水晶体の等価線量→1cm線量当量又は70μm線量当量。
Dは正しい。妊娠中の女性の腹部表面の等価線量→1cm線量当量。



問3 放射線検出器とそれに関係の深い事項との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1)電離箱 ………………………… 飽和領域
(2)フリッケ線量計 ……………… G値
(3)GM計数管 ……………………… 消滅ガス
(4)半導体検出器 ………………… 電子・正孔対
(5)シンチレーション検出器 …… グロー曲線


答え(5)
(1)は正しい。電離箱→飽和領域、W値など。
(2)は正しい。フリッケ線量計→G値など。
(3)は正しい。GM計数管→消滅ガス、電子なだれ、ガス増幅、プラトーなど。
(4)は正しい。半導体検出器→電子・正孔対、空乏層など。
(5)は誤り。シンチレーション検出器→光電子増倍管、蛍光作用など。なお、グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。



問4 放射線の測定等の用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)放射線が気体中で1個のイオン対を作るのに必要な平均エネルギーをW値といい、気体の種類には依存せず、放射線のエネルギーに応じてほぼ一定の値をとる。
(2)半導体検出器において、荷電粒子が半導体中で1個の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーをε値といい、シリコンの場合は約3.6eV程度である。
(3)入射放射線によって気体中に作られたイオン対のうち、電子が電界によって強く加速され、更に多くのイオン対を発生させることを気体(ガス)増幅といい、比例計数管やGM計数管による測定に利用される。
(4)GM計数管で放射線を計数するとき、分解時間内に入射した放射線は計数されないため、その分、計測値が減少することを数え落しという。
(5)GM計数管の特性曲線において、印加電圧を上げても計数率がほとんど変わらない範囲をプラトーといい、プラトーが長く、傾斜が小さいほど、計数管としての性能は良い。


答え(1)
(1)は誤り。W値は、放射線のエネルギーには依存せず、気体の種類に応じてほぼ一定の値をとります。W値は、電離気体が空気の場合は約34eV、アルゴンの場合は約26eVです。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問5 次のAからEまでの放射線検出器について、放射線のエネルギー分析が可能なもののすべての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 電離箱
B 比例計数管
C GM計数管
D 半導体検出器
E シンチレーション検出器

(1)A,B
(2)A,D
(3)B,C
(4)B,D,E
(5)C,D,E


答え(4)
放射線のエネルギー分析が可能な放射線検出器は、「比例計数管」「半導体検出器」「シンチレーション検出器」です。
特に、半導体検出器は、時間当たりの応答が早く、エネルギー分解能が優れているため(精度の高いエネルギー分析ができるため)、各種エネルギー分析によく利用されます。



問6 GM計数管に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「GM計数管が入射放射線を検出し一度放電した後、次の放射線が入射してもパルス信号が検出できない時間を[ A ]といい、パルス信号が弁別レベルまで回復するまでの時間を[ B ]という。GM計数管の[ A ]は、[ C ]程度である。」

(1)A=分解時間 B=不感時間 C=10~20μs
(2)A=分解時間 B=回復時間 C=100~200μs
(3)A=不感時間 B=分解時間 C=100~200μs
(4)A=不感時間 B=回復時間 C=100~200ms
(5)A=回復時間 B=不感時間 C=100~200ms


答え(3)
GM計数管に放射線が入射すると放電が起こりますが、その放電中に次の放射線が入射してもまったく検出できません。
この時間が『不感時間』で、その長さは計数管にもよりますが『100~200μs』程度です。
また、機器にはノイズの測定を防ぐため、一定以上の大きさのパルス信号でないと検出しないように弁別レベルが設けられています。
一度放電が起こった後に、次の放射線が入射して、やっと弁別レベル以上の大きさのパルス信号が得られるようになるまでの時間を『分解時間』といいます。
分解時間の長さも、不感時間とほとんど変わりません。



問7 エックス線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)シンチレータに混入される微量のタリウムは、発光波長の調整や発光量増加の役割を果たす活性剤である。
(2)シンチレータにエックス線が入射すると、紫外領域の減衰時間の長い光が放射される。
(3)シンチレータから放射された光は、光電子増倍管の光電面で光電子に変換され、増倍された後、電流パルスとして出力される。
(4)光電子増倍管から得られる出力パルス波高には、入射エックス線のエネルギーの情報が含まれている。
(5)光電子増倍管の増倍率は印加電圧に依存するので、高圧電源は安定化する必要がある。


答え(2)
(2)は誤り。シンチレータにエックス線が入射すると、『可視』領域の減衰時間の『短い』光が放射されます。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問8 熱ルミネセンス線量計(TLD)と蛍光ガラス線量計(RPLD)とを比較した次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A TLDの方が、RPLDより素子間の感度のばらつきが少なく、フェーディングも小さい。
B 線量を読み取るための発光は、TLDでは加熱により、RPLDでは紫外線照射により行われる。
C 線量の読み取りは、RPLDでは繰り返し行うことができるが、TLDでは線量を読み取ることによって素子から情報が消失してしまうため、1回しか行うことができない。
D TLDの素子は1回しか使用することができないが、RPLDの素子は、使用後加熱処理を行うことにより、再度使用することができる。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(3)
Aは誤り。TLDの素子は一般に粉末をガラスに封入したものが流通しており、粉末結晶の均質性や良否によって感度に若干のばらつきがあるため、素子ごとに校正が必要になります。また、TLDの方が、RPLDよりフェーディングが大きいことで知られています。
Bは正しい。読み取りのための発光は、TLDでは加熱、RPLDでは紫外線照射により行います。
Cは正しい。読み取りは、RPLDでは何度でもできますが、TLDでは1回しかできません。
Dは誤り。再使用は、TLDとRPLD両方共に可能です。



問9 ある放射線測定器を用いてt秒間放射線を測定し、計数値Nを得たとき、計数率の標準偏差(cps)を表すものは、次のうちどれか。

問9図


答え(2)
標準偏差とは、バラツキを表す指標の一つです。
放射線測定において標準偏差は、計数値Nの平方根で求められます。

標準偏差=√N

今回求めたい計数率(cps)の標準偏差は、√Nを、測定時間tで割れば求められます。
したがって、答えは(2)になります。



問10 次のエックス線とその測定に用いるサーベイメータの組合せのうち、不適切なものはどれか。

(1)散乱線を多く含むエックス線
  …… 電離箱式サーベイメータ
(2)0.1μSv/h程度の低線量率のエックス線
  …… シンチレーション式サーベイメータ
(3)200mSv/h程度の高線量率のエックス線
  …… 電離箱式サーベイメータ
(4)湿度の高い場所における100μSv/h程度のエックス線
  …… GM計数管式サーベイメータ
(5)10keV程度の低エネルギーのエックス線
  …… 半導体式サーベイメータ


答え(5)
(1)は正しい。電離箱式サーベイメータは、方向依存性が小さいため、散乱線を多く含むエックス線の測定に向いています。
(2)は正しい。シンチレーション式サーベイメータは、施設からの微弱な漏えい線なども測定できるので、低線量率のエックス線の測定に向いています。
(3)は正しい。電離箱式サーベイメータは、エックス線装置から直接出ている利用線錐の測定も可能なので、高線量率のエックス線の測定に向いています。
(4)は正しい。GM計数管式サーベイメータは、湿度の影響を受けにくいため取扱い易いですが、高線量率の測定には向いていません。選択肢のような「100μSv/h程度のエックス線」の測定であれば使用できます。
(5)は不適切。半導体式サーベイメータは、低エネルギーのエックス線の測定には不向きです。

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