X線作業主任者の過去問の解説:法令(2018年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:法令(2018年10月)

ここでは、2018年(平成30年)10月公表の過去問のうち「関係法令(問11~問20)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2018年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2018年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2018年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2018年10月)



問11 エックス線装置を用いて放射線業務を行う場合の管理区域に関する次の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、正しいものはどれか。

(1)管理区域には、放射線業務従事者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を明示しなければならない。
(2)放射線装置室内で放射線業務を行う場合、その室の入口に放射線装置室である旨の標識を掲げたときは、管理区域を標識により明示する必要はない。
(3)管理区域設定に当たっての外部放射線による実効線量の算定は、1cm線量当量及び70μm線量当量によって行うものとする。
(4)管理区域内の労働者の見やすい場所に、放射線業務従事者が受けた外部被ばくによる線量の測定結果の一定期間ごとの記録を掲示しなければならない。
(5)管理区域内の労働者の見やすい場所に、外部被ばくによる線量を測定するための放射線測定器の装着に関する注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。


答え(5)
(1)は誤り。「放射線業務従事者(放射線を取扱う仕事などをする労働者)以外の者」ではありません。管理区域には、『必要のある者以外の者』を立ち入らせてはならないことになっています。
(2)は誤り。放射線装置室にその標識を掲げたときでも、管理区域に標識を明示しなければなりません。
(3)は誤り。「70μm線量当量」は規定されていません。1cm線量当量によって行うものとします。
(4)は誤り。このような規定はありません。労働者の被ばく線量は、個人情報ですので、誰でも見えるように掲示してはなりません。
(5)は正しい。



問12 工業用の特定エックス線装置を用いて放射線装置室で透視を行うときに講ずべき措置について述べた次の文中の[  ]内に入れるAからCの数値又は語句の組合せとして、労働安全衛生関係法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、エックス線の照射中に透視作業従事労働者の身体の一部が当該装置の内部に入るおそれがあるものとする。

「利用線錐(すい)中の受像器を通過したエックス線の空気中の[ A ]が、エックス線管の焦点から[ B ]mの距離において、[ C ]μGy/h以下になるようにすること。」

(1)[A]吸収線量   [B]1 [C]30
(2)[A]空気カーマ率 [B]5 [C]17.4
(3)[A]吸収線量   [B]1 [C]17.4
(4)[A]空気カーマ率 [B]1 [C]17.4
(5)[A]吸収線量   [B]5 [C]30


答え(4)
これは透視時の措置に関する問題です。
透視とは、連続的にエックス線を照射して、検査物体の画像を観察する手法です。
最も身近なところでは、空港の手荷物検査がありますね。

下記イラストは、透視装置でエックス線を照射しているイメージ図です。
このように、透視の際は、『空気カーマ率』が、エックス線管の焦点から『1』mの距離において、『17.4』μGy/h以下になるようにしなければなりません。
なお、空気カーマ率とは、放射線によって時間当たりに空気中に与えられたエネルギーのことで、選択肢にある吸収線量とは単位は同じGy(グレイ)ですが定義が異なります。

問12解説図1



問13 エックス線装置を取り扱う放射線業務従事者が管理区域内で受ける外部被ばくによる線量の測定に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、労働安全衛生関係法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が[ A ]であり、次に多い部位が[ B ]である作業を行う場合、男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については頭・頸(けい)部及び胸部に、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)については[ C ]に、放射線測定器を装着させて線量の測定を行わなければならない。」

(1)[A]頭・頸部 [B]手指   [C]頭・頸部、腹部及び手指
(2)[A]胸部   [B]頭・頸部 [C]胸部及び腹部
(3)[A]手指   [B]頭・頸部 [C]胸部及び腹部
(4)[A]胸部   [B]頭・頸部 [C]胸部、頭・頸部及び腹部
(5)[A]頭・頸部 [B]手指   [C]頭・頸部及び腹部


答え(5)
これは、ほぼ毎回出題されている放射線測定器の装着部位についての問題です。
装着部位から被ばくのおそれのある部位を、割り出していく必要があるので、少しひねった問題ですね。
下記の通り問題文をまとめると分かりやすくなります。

▼被ばく部位
・最も多い→[A]
・次に多い→[B]

▼装着部位
・男性等→「頭・頸部」と「胸部」の2か所
・女性→[C]

まず、被ばく部位[A]と[B]について考えます。

男性等が「頭・頸部」に装着していることから、[A]胸部は無くなりました。
[A]胸部の場合、「胸部」の1か所にのみ装着すればよいからです。

また、男性等が「手指」に装着していないことから、[A]手指も無くなりました。
「手指」に装着する場合は、必ず「手指」が最も多く放射線にさらされるおそれのある部位になるからです。

ということで(1)と(5)のどちらかになりますので、[A]頭・頸部と[B]手指は確定です。

次に、女性の装着部位[C]について考えます。
この女性の場合は、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位である「頭・頸部」に装着し、あとは原則「腹部」に装着します。

したがって、(5)[A]頭・頸部、[B]手指、[C]頭・頸部及び腹部が正解です。



問14 エックス線装置を用いて放射線業務を行う作業場の管理区域に該当する部分の作業環境測定に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、労働安全衛生関係法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「作業場のうち管理区域に該当する部分について、[ A ]以内(エックス線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているときは、[ B ]以内)ごとに1回、定期に、作業環境測定を行い、その都度、測定日時、測定箇所、測定結果、[ C ]等一定の事項を記録し、5年間保存しなければならない。」

(1)[A]1か月 [B]6か月 [C]放射線測定器の種類、型式及び性能
(2)[A]1か月 [B]6か月 [C]エックス線装置の種類及び型式
(3)[A]6か月 [B]1年  [C]放射線測定器の種類、型式及び性能
(4)[A]6か月 [B]1か月 [C]エックス線装置の種類及び型式
(5)[A]6か月 [B]1年  [C]測定結果に基づき実施した措置の概要


答え(1)
管理区域の作業環境測定の頻度は『1か月』以内ですが、エックス線装置を固定して使用する場合等に該当すれば『6か月』以内ごとに緩和されます。
また、記録する事項は測定に関することですので、『放射線測定器の種類、型式及び性能』や『測定結果に基づき実施した措置の概要』などを記録します。



問15 エックス線装置に電力が供給されている場合、労働安全衛生関係法令上、自動警報装置を用いて警報しなければならないものは次のうちどれか。

(1)管電圧150kVの工業用のエックス線装置を放射線装置室以外の屋内で使用する場合
(2)管電圧150kVの医療用のエックス線装置を放射線装置室に設置して使用する場合
(3)管電圧250kVの医療用のエックス線装置を放射線装置室以外の屋内で使用する場合
(4)管電圧200kVの工業用のエックス線装置を放射線装置室に設置して使用する場合
(5)管電圧250kVの工業用のエックス線装置を屋外で使用する場合


答え(4)
エックス線装置に電力が供給されていることを警報する方法として、手動と自動の2種類があります。
警報の手段としては、ベルやブザーを鳴らす、ランプを点灯させるなどがあります。
手動の場合は作業者自身でそれを実施しますが、自動の場合は装置への電力供給と同時に連動して警報されなければなりません。
このような自動警報装置は、次の2つの条件に該当する場合に用いることになっています。

①管電圧150kVを超えるエックス線装置を使用する場合(150kVは含まないので注意!)。
②放射線装置室に設置して使用する場合。

なお、この規定は医療用と工業用のエックス線装置に適用されます。
したがって、(4)が該当します。



問16 次のAからEの事項について、電離放射線障害防止規則において、エックス線作業主任者の職務として規定されているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A エックス線装置を用いて行う透過写真撮影の業務に従事する労働者に対し、特別の教育を行うこと。
B 外部放射線を測定するための放射線測定器について、1年以内ごとに校正すること。
C 放射線業務従事者の受ける線量ができるだけ少なくなるように照射条件等を調整すること。
D 作業環境測定の結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る労働者に周知させること。
E 外部被ばく線量を測定するための放射線測定器が法令の規定に適合して装着されているかどうかについて点検すること。

(1)A,B
(2)A,D
(3)B,E
(4)C,D
(5)C,E


答え(5)
C,Eは正しい。
Aは職務として規定されていない。特別の教育は、事業者の責務です。
Bは職務として規定されていない。校正はエックス線校正について知識のある者が行うほか、校正機関に依頼することもあるでしょう。
Dは職務として規定されていない。作業環境測定と実施後の措置については、エックス線について知識、経験のある者が行うのが望ましいとされています。もし、社内に作業環境測定士がいれば、その者に行わせるのが良いでしょう。



問17 次のAからDの場合について、所轄労働基準監督署長にその旨又はその結果を報告しなければならないものの全ての組合せは、(1)~(5)のうちどれか。

A エックス線作業主任者を選任した場合
B 放射線装置室を設置し、又はその使用を廃止した場合
C 放射線装置室内の遮へい物がエックス線の照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止することが困難な事故が発生したが、その事故によって受ける実効線量が15mSvを超えるおそれのある区域は生じていない場合
D エックス線による非破壊検査業務に従事する労働者5人を含めて40人の労働者を常時使用する事業場において、法令に基づく定期の電離放射線健康診断を行った場合

(1)A,B
(2)A,B,D
(3)A,C,D
(4)B,C
(5)C,D


答え(5)
Aは報告は必要ありません。ただし、エックス線作業主任者を選任した場合は、その者の氏名を関係労働者に周知させる必要があります。
Bは報告は必要ありません。ただし、「室」ではなく『放射線装置』を設置する場合は、事前に届出が必要です。
Cは正しい。選択肢には「事故によって受ける実効線量が15mSv」とありますが、線量に関係なく選択肢のような事故が起これば、報告が必要です。
Dは正しい。選択肢には「40人の労働者を常時使用する事業場」とありますが、事業場の規模(人数)に関係なく、定期の電離放射線健康診断を行った場合は、報告が必要です。



問18 エックス線装置構造規格において、工業用等のエックス線装置に取り付ける照射筒又はしぼりについて、次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「工業用等のエックス線装置に取り付ける照射筒又はしぼりは、照射筒壁又はしぼりを透過したエックス線の空気カーマ率が、エックス線管の焦点から[ A ]の距離において、波高値による定格管電圧が200kV未満のエックス線装置では、[ B ]mGy/h以下、波高値による定格管電圧が200kV以上のエックス線装置では、[ C ]mGy/h以下になるものでなければならない。」

(1)[A]5cm [B]77  [C]115
(2)[A]5cm [B]155 [C]232
(3)[A]1m  [B]1.3 [C]2.1
(4)[A]1m  [B]2.6 [C]4.3
(5)[A]1m  [B]6.5 [C]10


答え(4)
エックス線装置構造規格では、医療用とそれ以外の工業用等のエックス線装置の遮へい能力などについて定められています。
装置に取り付ける照射筒は、エックス線の照射範囲を制限したり、検査物体からの散乱線を低減するために用いられる筒です。
また、しぼりはエックス線の照射範囲を調整するもので、スライド式のものなどがあります。

下記イラストは、エックス線装置に照射筒を取り付け、透過写真撮影を行っているイメージ図です。
遮へい能力は、工業用等のエックス線装置のエックス線管の焦点から『1』mの距離で、200kV未満の装置では『2.6』mGy/h以下、200kV以上の装置では『4.3』mGy/h以下でなければなりません。

問18解説図1



問19 労働安全衛生関係法令に基づきエックス線作業主任者免許が与えられる者に該当しないものは、次のうちどれか。

(1)エックス線作業主任者免許試験に合格した満18歳の者
(2)第二種放射線取扱主任者免状の交付を受けた満25歳の者
(3)第一種放射線取扱主任者免状の交付を受けた満30歳の者
(4)診療放射線技師の免許を受けた満35歳の者
(5)原子炉主任技術者免状の交付を受けた満40歳の者


答え(2)
まず、次の者は、申請することでエックス線作業主任者免許が与えられます。
・エックス線作業主任者免許試験に合格した者
・診療放射線技師の免許を受けた者
・原子炉主任技術者免状の交付を受けた者
・第一種放射線取扱主任者免状の交付を受けた者

次に、免許の欠格事項として次の者が該当します。この者には免許が与えられません。
・満18歳未満の者
※ほかにもありますが省略します。

以上より、年齢はすべての選択肢がクリアしていますが、(2)第二種放射線取扱主任者免状の交付を受けた者には、エックス線作業主任者免許は与えられないことがわかります。



問20 常時600人の労働者を使用する製造業の事業場における衛生管理体制に関する(1)~(5)の記述のうち、労働安全衛生関係法令上、誤っているものはどれか。
ただし、600人中には、屋内作業場の製造工程において次の業務に常時従事する者が含まれているが、その他の有害業務はなく、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。

深夜業を含む業務 ……… 500人
エックス線照射装置を用いて行う透過写真撮影の業務 ……… 40人

(1)衛生管理者は、3人以上選任しなければならない。
(2)衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者として選任しなければならない。
(3)衛生管理者のうち少なくとも1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。
(4)産業医は、この事業場に専属でない者を選任することができる。
(5)総括安全衛生管理者を選任しなければならない。


答え(4)
(1)は正しい。「500人を超え、1,000人以下」の労働者を常時使用する事業場では、3人以上の衛生管理者を選任しなければなりません。
(2)は正しい。「1,000人を超える」または「500人を超え、そのうちエックス線にさらされる業務に30人以上」の労働者を常時使用する事業場では、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければなりません。
(3)は正しい。「500人を超え、そのうちエックス線にさらされる業務に30人以上」の労働者を常時使用する事業場では、衛生管理者のうち1人は、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければなりません。なお、衛生工学衛生管理者免許は、第一種衛生管理者免許を有する者が所定の講習を受講することなどで与えられる免許です。
(4)は誤り。「50人以上」の労働者を常時使用する事業場では、産業医を選任しなければなりません。また、「1,000人以上」または「エックス線にさらされる業務や深夜業に500人以上」の労働者を常時使用する事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。問題文では「深夜業を含む業務…500人」となっていますので、事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。ちなみに深夜業とは夜10時から朝5時までの時間帯の業務です。
(5)は正しい。「300人以上」の労働者を常時使用する製造業の事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければなりません。

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はじめまして。講師の奥田真史です。エックス線作業主任者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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