X線作業主任者の過去問の解説:管理(2019年4月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:管理(2019年4月)

ここでは、2019年(平成31年)4月公表の過去問のうち「エックス線の管理に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2019年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2019年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2019年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2019年4月)



問1 工業用エックス線装置のエックス線管及びエックス線の発生に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)エックス線管の内部には、効率的にエックス線を発生させるためにアルゴンなどの不活性ガスが封入されている。
(2)陽極のターゲットにタングステンが多く用いられる主な理由は、熱伝導率が高く、加工しやすいことである。
(3)陰極のフィラメント端子間の電圧は、フィラメント加熱用の降圧変圧器を用いて10~20V程度にしている。
(4)陽極のターゲット上のエックス線が発生する部分を実効焦点といい、これをエックス線束の利用方向から見たものを実焦点という。
(5)エックス線管の管電流は、陰極から陽極に向かって流れる。


答え(3)
(1)は誤り。エックス線管の内部は、高い真空状態になっています。アルゴンなどのガスが入っていると、エックス線がうまく発生しないでしょう。
(2)は誤り。タングステンは金属元素の中で、もっとも高融点です。つまり、高い温度でも融けにくいので、高温になるターゲットの素材として用いられます。
(3)は正しい。フィラメント端子間の電圧は、通常の電源電圧から下げられています。
(4)は誤り。陽極のターゲット上の熱電子がぶつかる領域が実焦点で、エックス線束の利用方向から見たものを実効焦点といいます。
(5)は誤り。電流は、陽極から陰極に向かって流れます。



問2 特性エックス線に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)特性エックス線の波長は、ターゲット元素の原子番号が大きくなると長くなる。
(2)特性エックス線は、連続スペクトルを示す。
(3)管電圧が、K系列の特性エックス線を発生させるのに必要な最小値であるK励起電圧を下回るときは、他の系列の特性エックス線も発生することはない。
(4)K殻電子が電離されたことにより特性エックス線が発生することをオージェ効果という。
(5)K系列の特性エックス線は、管電圧を上げると強度が増大するが、その波長は変わらない。


答え(5)
(1)は誤り。特性エックス線の波長は、ターゲット元素の原子番号が大きくなると「短く」なります。
(2)は誤り。特性エックス線は、「線スペクトル」を示します。
(3)は誤り。このような場合でも、L系列など他の系列の特性エックス線が発生することがあります。
(4)は誤り。オージェ効果では、特性エックス線を発生させる代わりに外殻の電子を飛び出させます。
(5)は正しい。特性エックス線は、元素固有の波長を持っていますので、管電圧や管電流を変えても、その波長は変わりません。



問3 連続エックス線が物体を透過する場合の減弱に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)連続エックス線が物体を透過するとき、平均減弱係数は、物体の厚さの増加に伴い大きくなる。
(2)連続エックス線が物体を透過すると、最高強度を示すエックス線のエネルギーは、低い方へ移動する。
(3)連続エックス線が物体を透過するとき、透過後の実効エネルギーは物体の厚さが増すほど高くなるが、物体が十分厚くなるとほぼ一定となる。
(4)連続エックス線は、物体を透過しても、その全強度は変わらない。
(5)連続エックス線が物体を透過するとき、透過エックス線の全強度が物体に入射する直前の全強度の1/2となる物体の厚さをHaとし、直前の全強度の1/4となる物体の厚さをHbとすれば、HbはHaの2倍である。


答え(3)
(1)は誤り。平均減弱係数は、物体の厚さの増加に伴い「小さく」なります。
(2)は誤り。最高強度を示すエックス線のエネルギーは、「高い」方へ移動します。また、エックス線のエネルギーが高くなることを、硬化するといいます。
(3)は正しい。その通りです。
(4)は誤り。物体を透過すると、その全強度は「小さく」なります。
(5)は誤り。連続エックス線が物体を通り抜けるとき、エネルギーの高いエックス線がたくさん残ります。
そのため連続エックス線の全強度を最初の2分の1にする物体の厚さ(Ha)と、4分の1にする物体の厚さ(Hb)を比較すると、HbはHaの「2倍よりも大きく」なります。



問4 エックス線と物質との相互作用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)光電効果とは、原子の軌道電子がエックス線光子のエネルギーを吸収して原子の外に飛び出し、光子が消滅する現象である。
(2)光電効果が起こる確率は、エックス線のエネルギーが高くなるほど低下する。
(3)光電効果により原子から放出される電子を反跳電子という。
(4)コンプトン効果とは、エックス線光子と原子の軌道電子とが衝突し、電子が原子の外に飛び出し、光子が運動の方向を変える現象である。
(5)コンプトン効果による散乱エックス線は、入射エックス線のエネルギーが高くなるほど前方に散乱されやすくなる。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。光電効果により原子から放出される電子は、「光電子」とよばれます。
なお、コンプトン効果により原子から放出される電子が、「反跳電子」です。



問5 単一エネルギーで太い線束のエックス線が物質を透過するときの減弱及び再生係数(ビルドアップ係数)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)再生係数は、入射エックス線の線量率が高くなるほど小さくなる。
(2)再生係数は、物質への照射面積が大きいほど大きくなる。
(3)再生係数は、物質の厚さが薄くなるほど小さくなる。
(4)再生係数は、透過後、物質から離れるほど小さくなり、その値は1に近づく。
(5)太い線束のエックス線では、散乱線が加わるため、細い線束のエックス線より減弱曲線の勾配は緩やかになり、見かけ上、減弱係数が小さくなる。


答え(1)
(1)は誤り。再生係数は、線量率の影響を受けません。
再生係数の値に影響を与える要因として、「物質への照射面積」「物質の厚さ」「物質の種類」「入射エックス線のエネルギー」があります。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問6 エックス線を利用した各種試験装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)蛍光エックス線分析装置は、蛍光体を塗布した板の上に、物質を透通したエックス線を当てたときにできる蛍光像を観察することによって、物質の欠陥の程度などを識別する装置である。
(2)エックス線マイクロアナライザーは、細く絞った電子線束を試料の微小部分に照射し、発生する特性エックス線を分光することによって、微小部分の元素を分析する装置である。
(3)エックス線回折装置は、結晶質の物質にエックス線を照射すると特有の回折像が得られることを利用して、物質の結晶構造を解析し、物質の性質を調べる装置である。
(4)エックス線応力測定装置は、応力による結晶の面間隔の変化をエックス線の回折を利用して調べることにより、物質内の残留応力の大きさを測定する装置である。
(5)エックス線透過試験装置は、被検査物体を透通したエックス線による画像を観察する装置で、画像は、フイルムの他、イメージングプレートなどに記録される。


答え(1)
(1)は誤り。蛍光エックス線分析装置は、白色(連続)エックス線を試料に照射して、発生する蛍光エックス線の性質を調べ、試料の定性、定量分析を行う装置です。
定性分析とは、どのような元素が入っているか見分けることで、定量分析とは、その元素が全体の何%を占めているかを見分けることです。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問7 エックス線の散乱に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「エックス線装置を用い、管電圧100kVで、厚さが20mmの鋼板及びアルミニウム板のそれぞれにエックス線のビームを垂直に照射し、散乱角135°方向の後方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定してその大きさを比較したところ、[ A ]の後方散乱線の方が大きかった。
次に、同じ照射条件で、鋼板について、散乱角120°及び135°の方向の後方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定し、その大きさを比較したところ、[ B ]の方向の方が大きかった。
また、同じ照射条件で、鋼板について、散乱角30°及び60°の方向の前方散乱線の空気カーマ率を、照射野の中心から2mの位置で測定し、その大きさを比較したところ、[ C ]の方向の方が大きかった。」

(1)A:アルミニウム板 B:120° C:60°
(2)A:アルミニウム板 B:135° C:30°
(3)A:鋼板 B:120° C:60°
(4)A:鋼板 B:135° C:30°
(5)A:鋼板 B:135° C:60°


答え(2)
この問題は、エックス線を物体に照射したとき、散乱線の量が大きくなる条件を選択させるものです。
まずは、物体の種類が鋼板とアルミニウム板とでは、後方散乱線の空気カーマ率はどうなるでしょうか。
実は「アルミニウム板」の方が、後方散乱線の空気カーマ率が大きくなります。
次に、散乱角による散乱線の空気カーマ率はどうなるでしょうか。
散乱角120°と135°の後方散乱線の空気カーマ率は、「135°」の方が大きくなります。
また、散乱角30°及び60°の方向の前方散乱線の空気カーマ率は、「30°」の方が大きくなります。



問8 エックス線装置を使用する管理区域を設定するための外部放射線の測定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)測定は、あらかじめ計算により求めた1cm線量当量又は1cm線量当量率の高い箇所から低い箇所へ逐次行っていく。
(2)測定点は、壁などの構造物によって区切られた領域の中央部とエックス線装置の周囲の床上1.5mの数箇所の位置とする。
(3)測定器は、測定中に線量率の変化に対応して指針が漂動(シフト)するものを選択して使用する。
(4)積算型放射線測定器は、測定に用いることはできない。
(5)あらかじめバックグラウンド値を調査しておき、これを測定器の指示値から差し引いた値を測定結果とする。


答え(5)
(1)は誤り。測定は、「低い箇所から高い箇所」へ逐次行っていきます。
(2)は誤り。測定点は、壁などの構造物によって区切られた境界の近辺の箇所を含むものとします。また、測定点の高さは、作業床面上約1mの位置とします。
(3)は誤り。測定器は、測定中に指針の漂動(シフト)が少ないものとします。
(4)は誤り。フィルムバッジ等などの積算型放射線測定器も用いることができます。
(5)は正しい。その通りです。「差し引いた値」がポイントです。



問9 下図のように、エックス線装置を用いて鋼板の透過写真撮影を行うとき、エックス線管の焦点から2mの距離のP点における写真撮影中の1cm線量当量率は0.3mSv/hである。
エックス線管の焦点とP点を結ぶ直線上で、焦点からP点の方向に15mの距離にあるQ点を管理区域の境界の外側になるようにすることができる1週間当たりの撮影可能な写真の枚数として、最大のものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、露出時間は1枚の撮影について100秒間であり、3か月は13週とする。

問10図

(1)290枚/週
(2)375枚/週
(3)430枚/週
(4)530枚/週
(5)675枚/週


答え(5)
この問題は、図のQ点が管理区域の境界線の外側にあるとき、1週間当たりの撮影可能な写真の最大枚数を求めるものです。
なお、管理区域とは、3か月あたり1.3mSvを超えるおそれのある区域です。

まず、週の撮影枚数をNとし、3か月当たりの全撮影時間を計算します。

全撮影時間=1枚当たりの露出時間×週の撮影枚数×3か月の週数
 =100/3,600[h/枚]×N[枚/週]×13[週/3か月]
 =(1,300/3,600)N[h/3か月]

割り切れない場合は、分数のまま計算した方が後の計算式がスッキリします。

次に、P点における3か月当たりの線量当量を計算します。

線量当量=線量当量率×全撮影時間
 =0.3[mSv/h]×(1,300/3,600)N[h/3か月]
 =(390/3,600)N[mSv/3か月]

それでは、逆2乗則を使って、週の撮影枚数Nを求めましょう。
逆2乗則は、強度が距離の2乗に反比例して減少する法則なので、次のような計算式で表されます。

強度(P点)/強度(Q点)=距離(Q点)2/距離(P点)2

(390/3,600)N[mSv/3か月]/1.3[mSv/3か月]=152[m]/22[m]
390N/1.3×3,600=225/4
390N=225×1.3×3,600/4
390N=263,250
N=263,250/390
N=675

したがって、Q点を管理区域の境界の外側になる1週間当たりの撮影可能な写真の最大枚数は、(5)675枚/週です。



問10 ろ過板に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「ろ過板は、照射口に取り付けて、透過試験に役立たない[ A ]エックス線(波長の[ B ]エックス線)を取り除き、無用な散乱線を減少させるために使用する。
しかし、[ C ]などで[ A ]エックス線そのものを利用する場合には、ろ過板は使用しない。」

(1)A:硬 B:長い C:エックス線回折装置
(2)A:硬 B:短い C:蛍光エックス線分析装置
(3)A:軟 B:長い C:蛍光エックス線分析装置
(4)A:軟 B:長い C:エックス線CT装置
(5)A:軟 B:短い C:エックス線回折装置


答え(3)
一般的に10keV以下のエックス線を軟エックス線、100keV以上のエックス線を硬エックス線といいます。 軟エックス線は、エネルギーが小さく波長の長いエックス線です。 一方で、硬エックス線は、エネルギーが大きく波長の短いエックス線です。 ろ過板は、厚さ1mm程度の金属板ですが、軟エックス線はこれを通り抜けることができません。 蛍光エックス線分析装置では、軟エックス線を利用しますのでろ過板を使用しません。

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