X線作業主任者の過去問の解説:測定(2019年4月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:測定(2019年4月)

ここでは、2019年(平成31年)4月公表の過去問のうち「エックス線の測定に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2019年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2019年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2019年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2019年4月)



問1 放射線に関連した量とその単位の組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1)吸収線量 ……………… Gy・kg-1
(2)線減弱係数 …………… m-1
(3)カーマ ………………… Gy
(4)粒子フルエンス ……… m-2
(5)等価線量 ……………… Sv


答え(1)
(1)は誤り。吸収線量の単位は、J・kg-1で特別な名称としてGyが用いられます。
(2)は正しい。線減弱係数の単位は、長さの単位の逆数になりますのでm-1やcm-1などが用いられます。
(3)は正しい。カーマの単位は、J・kg-1で特別な名称としてGyが用いられます。
(4)は正しい。粒子フルエンスは、ある空間の断面を通過する放射線粒子の数を表すもので、単位としてm-2が用いられます。
(5)は正しい。等価線量の単位は、J・kg-1で特別な名称としてSvが用いられます。



問2 放射線防護のための被ばく線量の算定に関する次のAからDの記述について、正しいものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 眼の水晶体の等価線量は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1cm線量当量又は70μm線量当量のうち、いずれか適切なものにより算定する。
B 皮膚の等価線量は、エックス線については1cm線量当量により算定する。
C 外部被ばくによる実効線量は、1cm線量当量により算定する。
D 妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿(たい)部における70μm線量当量により算定する。

(1)A,B
(2)A,C
(3)A,C,D
(4)B,C,D
(5)B,D


答え(2)
A,Cは正しい。
Bは誤り。皮膚の等価線量は、エックス線については「70μm線量当量」により算定します。ちなみに、中性子線の場合は1cm線量当量により算定します。
Dは誤り。妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿部における「1cm線量当量」により算定します。



問3 放射線検出器とそれに関係の深い事項との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

(1)電離箱 …………………………… ガス増幅
(2)比例計数管 ……………………… 窒息現象
(3)GM計数管 ………………………… 電子なだれ
(4)シンチレーション検出器 ……… 緑色レーザー光
(5)フリッケ線量計 ………………… グロー曲線


答え(3)
(1)は誤り。電離箱と関係の深い事項として、飽和領域、W値があります。なお、ガス増幅は、比例計数管、GM計数管と関係の深い事項です。
(2)は誤り。比例計数管と関係の深い事項として、ガス増幅、電子なだれがあります。なお、窒息現象は、GM計数管と関係の深い事項です。
(3)は正しい。
(4)は誤り。シンチレーション検出器と関係の深い事項として、光電子増倍管、蛍光作用があります。なお、緑色レーザー光は、光刺激ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。
(5)は誤り。フリッケ線量計と関係の深い事項として、G値があります。なお、グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。



問4 エックス線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)シンチレータとして用いられるヨウ化ナトリウム結晶は、微量のタリウムを含有させて活性化されている。
(2)シンチレータにエックス線が入射すると、可視領域の減衰時間の短い光が放射される。
(3)シンチレータから放射された光は、光電子増倍管の光電面で光電子に変換され、増倍された後、電流パルスとして出力される。
(4)光電子増倍管から得られる出力パルス波高は、入射エックス線の線量率に比例する。
(5)光電子増倍管の増倍率は、印加電圧に依存するので、光電子増倍管に印加する高圧電源は安定化する必要がある。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。光電子増倍管から得られる出力パルス波高は、入射エックス線の「エネルギー」に比例します。
よって、NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いた測定器は、入射エックス線のエネルギー分析をすることができます。



問5 次のエックス線とその測定に用いるサーベイメータとの組合せのうち、不適切なものはどれか。

(1)10keV程度のエネルギーで、1mSv/h程度の線量率のエックス線
 …………… NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータ
(2)50~200keVのエネルギー範囲で、50μSv/h程度の線量率のエックス線
 …………… 電離箱式サーベイメータ
(3)100keV程度のエネルギーで、10μSv/h程度の線量率のエックス線
 …………… 半導体式サーベイメータ
(4)300keV程度のエネルギーで、100μSv/h程度の線量率のエックス線
 …………… GM計数管式サーベイメータ
(5)300keV程度のエネルギーで、10mSv/h程度の線量率のエックス線
 …………… 電離箱式サーベイメータ


答え(1)
(2)(3)(4)(5)は適切。
(1)は不適切。NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータは、高感度で自然放射線レベルの線量率測定が可能です。
一方で、エネルギー依存性が大きく、50keV以下のエネルギーのエックス線の測定をカットする仕様になっています。
ただし、電子回路の改良によりエネルギー依存性が改善されたものも販売されるようになってきました。



問6 次のAからDの放射線測定器のうち、線量を読み取るための特別な装置を必要としないものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A フィルムバッジ
B 光刺激ルミネセンス
C PD型ポケット線量計
D 半導体式ポケット線量計

(1)A,B
(2)A,C
(3)A,D
(4)B,D
(5)C,D


答え(5)
Aは誤り。フィルムバッジは、線量を読み取るために、現像処理装置と濃度計が必要です。
Bは誤り。光刺激ルミネセンス(線量計)は、線量を読み取るために、専用のリーダーが必要です。
C,Dは、正しい。これらは、線量を読み取るための特別な装置を必要としないため、その場で線量を読み取ることができます。



問7 熱ルミネセンス線量計(TLD)と蛍光ガラス線量計(RPLD)とを比較した次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)線量読み取りのためには、TLD、RPLDの双方とも、専用の読み取り装置が必要である。
(2)RPLDの方が、TLDより素子間の感度のばらつきが少ない。
(3)線量を読み取るための発光は、TLDでは加熱により、RPLDでは緑色レーザー光照射により行われる。
(4)線量の読み取りは、RPLDでは繰り返し行うことができるが、TLDでは、線量を読み取ることによって素子から情報が消失してしまうため、1回しか行うことができない。
(5)素子の再使用は、TLD、RPLDの双方とも、使用後、アニーリング処理を行うことにより可能となる。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。線量を読み取るための発光は、TLDでは加熱により、RPLDでは「紫外線照射」により行われます。
なお、光刺激ルミネセンス線量計(OSLD)では、緑色レーザー光照射により行われます。



問8 放射線の測定の用語に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)半導体検出器において、放射線が半導体中で1個の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーをε値といい、シリコン結晶の場合は、約3.6eVである。
(2)GM計数管の動作特性曲線において、印加電圧を上げても計数率がほとんど変わらない範囲をプラトーといい、プラトー領域の印加電圧では、入射エックス線による一次電離量に比例した大きさの出力パルスが得られる。
(3)気体に放射線を照射したとき、1個のイオン対を作るのに必要な平均エネルギーをW値といい、気体の種類にあまり依存せず、放射線のエネルギーに応じてほぼ一定の値をとる。
(4)線量率計の積分回路の時定数は、線量率計の指示の即応性に関係した定数で、時定数の値を小さくすると、指示値の相対標準偏差は小さくなるが、応答速度は遅くなる。
(5)測定器の指針が安定せず、ゆらぐ現象をフェーディングという。


答え(1)
(1)は正しい。
(2)は誤り。GM計数管では、入射エックス線による一次電離量に無関係に一定の大きさの出力パルスが得られます。
(3)は誤り。W値は、放射線のエネルギーにあまり依存せず、気体の種類に応じてほぼ一定の値をとります。
(4)は誤り。時定数の値を小さくすると、指示値の相対標準偏差は大きくなりますが、応答速度は速くなります。
(5)は誤り。フェーディングとは、積分型の測定器において、放射線が入射して作用した時点からの時間経過に応じて線量の読み取り値が減少していく現象をいいます。



問9 男性の放射線業務従事者が、エックス線装置を用い、肩から大腿(たい)部までを覆う防護衣を着用して放射線業務を行った。
労働安全衛生関係法令に基づき、胸部(防護衣の下)、頭・頸(けい)部及び手指の計3箇所に、放射線測定器を装着して、被ばく線量を測定した結果は、次の表のとおりであった。

問9図

この業務に従事した間に受けた外部被ばくによる実効線量の算定値に最も近いものは、(1)~(5)のうちどれか。
ただし、防護衣の中は均等被ばくとみなし、外部被ばくによる実効線量(HEE)は、その評価に用いる線量当量についての測定値から次の式により算出するものとする。

HEE=0.08Ha+0.44Hb+0.45Hc+0.03Hm
Ha:頭・頸部における線量当量
Hb:胸・上腕部における線量当量
Hc:腹・大腿部における線量当量
Hm:「頭・頸部」、「胸・上腕部」及び「腹・大腿部」のうち被ばくが最大となる部位における線量当量

(1)0.1mSv
(2)0.2mSv
(3)0.3mSv
(4)0.4mSv
(5)0.5mSv


答え(4)

この問題は、測定結果から「外部被ばくによる実効線量」を算定するものです。
もし全身に均等に被ばくする場合は、基本装着部位(男性は胸部、女性は腹部)に個人被ばく線量計を装着し、そこで測定した1cm線量当量を、外部被ばくによる実効線量とします。
しかし、今回は各部位で測定値が異なる不均等被ばくです。
このような場合の外部被ばくによる実効線量は次の式で算出できます。

HEE=0.08Ha+0.44Hb+0.45Hc+0.03Hm
HEE:外部被ばくによる実効線量
Ha:頭・頸部における1cm線量当量
Hb:胸・上腕部における1cm線量当量
Hc:腹・大腿部における1cm線量当量
Hm:「頭・頸部」「胸・上腕部」「腹・大腿部」のうち外部被ばくによる実効線量が最大となるおそれのある部位における1cm線量当量

臓器・組織ごとに放射線リスクが異なるため、上記の式では、各部位で異なる係数を掛けることになっています。
また、各部位の1cm線量当量は、それぞれの部位に装着した個人被ばく線量計の測定値を用いることが原則ですが、測定されていない場合は、他の部位のうち最大の1cm線量当量を該当部位の1cm線量当量とします。
または、線量不明の部位にもっとも近い部位に装着された線量計による1cm線量当量と同程度であることが明らかな場合には、その近接部位の1cm線量当量を用います。
問題文では「防護衣の中は均等被ばくとみなす」とありますので、胸部と腹・大腿部の測定値は同程度となり、Hcには0.3を用います。
それぞれの値を代入して、外部被ばくによる実効線量を求めます。

HEE = 0.08×1.2 + 0.44×0.3 + 0.45×0.3 + 0.03×1.2
  = 0.399 ≒ 0.40mSv



問10 あるサーベイメータを用いて50秒間エックス線を測定し、3,200cpsの計数率を得た。
この計数率の標準偏差(cps)に最も近い値は、次のうちどれか。

(1)1.1
(2)8
(3)56
(4)64
(5)400


答え(2)

標準偏差とは、値のバラツキを表す指標の一つです。
たとえば、サーベイメータの計数値が0秒から1秒の1秒間では3,206だとしても、1秒から2秒の1秒間では3,192というようにバラツキが見られます。

それでは、なるべくわかりやすい解法で標準偏差を計算していきます。

まず、計数率の標準偏差(cps)を求めるに当たり、50秒間の計数値を求めます。

50[s]×3,200[cps]=160,000[c]

50秒間の計数値は、160,000cだと分かりました。
次に、50秒間の計数値の標準偏差を求めます。
サーベイメータを用いて放射線を測定した場合の計数値の標準偏差は、次の式で求められます。

標準偏差=√計数値

ここに先ほど求めた50秒間の計数値160,000cを代入すると次のようになります。

標準偏差=√160,000 [c]
 =400[c]

50秒間の計数値の標準偏差は、400cであることが分かりました。
求めたいのは、1秒間あたりの計数値の標準偏差、つまり計数率の標準偏差(cps)なので、400cを50sで割ります。

400[c]/50[s]=8[cps]

よって、この計数率の標準偏差(cps)は、(2)8が正解です。


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はじめまして。講師の奥田真史です。エックス線作業主任者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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