X線作業主任者の過去問の解説:測定(2020年4月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:測定(2020年4月)

ここでは、2020年(令和2年)4月公表の過去問のうち「エックス線の測定に関する知識(問1~問10)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2020年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2020年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2020年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2020年4月)



問1 放射線の量とその単位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)吸収線量は、電離放射線の照射により単位質量の物質に付与されたエネルギーであり、単位はGyが用いられる。
(2)カーマは、電離放射線の照射により、単位質量の物質中に生成された荷電粒子の電荷の総和であり、単位はGyが用いられる。
(3)等価線量は、人体の特定の組織・臓器当たりの吸収線量に、放射線の種類とエネルギーに応じて定められた放射線加重係数を乗じたもので、単位はSvが用いられる。
(4)実効線量は、人体の各組織・臓器が受けた等価線量に、各組織・臓器の相対的な放射線感受性を示す組織加重係数を乗じ、これらを合計したもので、単位はSvが用いられる。
(5)eV(電子ボルト)は、放射線のエネルギーの単位として用いられ、1eVは約1.6×10-19Jに相当する。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。「電荷の総和」ではありません。カーマは、単位質量の物質中に与えられた初期運動「エネルギーの総和」です。ちなみにカーマ(Kerma)は、「Kinetic energy released per unit mass」の頭文字から取られたものです。



問2 GM計数管に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)GM計数管の内部には電離気体として用いられる空気のほか、放射線によって生じる放電を短時間で消滅させるための消滅(クエンチング)ガスとしてアルゴンなどの希ガスが混入されている。
(2)回復時間は、入射放射線により一度放電し、一時的に検出能力が失われた後、パルス波高が弁別レベルまで回復するまでの時間で、GM計数管が測定できる最大計数率に関係する。
(3)プラトーが長く、その傾斜が小さいプラトー特性のGM計数管は、一般に性能が劣る。
(4)GM計数管は、プラトー部分の中心部より高い印加電圧で使用する。
(5)GM計数管では、入射放射線のエネルギーを分析することができない。


答え(5)
(1)は誤り。消滅ガス(クエンチングガス)として、少量のアルコール蒸気やハロゲンガスなどが用いられます。
(2)は誤り。放電後、一時的に検出能力が失われた後、パルス波高が弁別レベルまで回復するまでの時間を「分解時間」といいます。「回復時間」ではありません。
(3)は誤り。優れたGM計数管の特性として、「プラトーが長いこと」「プラトーの傾斜が小さいこと」が挙げられます。ちなみに、プラトーは「平坦な」という意味です。
(4)は誤り。GM計数管は、プラトー部分の中心部より「少し低い」印加電圧で使用します。これにより、管の寿命を長持ちさせることができます。
(5)は正しい。GM計数管では、入射放射線による放電とは無関係に、管内で紫外線が発生し放電が起こります。このため一次電離量とは無関係に一定の大きさの出力パルスが得られるという利点はあるのですが、入射放射線のエネルギーは分析できないのです。



問3 サーベイメータに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)電離箱式サーベイメータは、エネルギー依存性及び方向依存性が小さいので、散乱線の多い区域の測定に適している。
(2)電離箱式サーベイメータは、一般に、湿度の影響により零点の移動が起こりやすいので、測定に当たり留意する必要がある。
(3)NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータは、感度が良く、自然放射線レベルの低線量率の放射線も検出することができるので、施設周辺の微弱な漏えい線の有無を調べるのに適している。
(4)シンチレーション式サーベイメータ、30keV程度のエネルギーのエックス線の測定に適している。
(5)半導体式サーベイメータは、20keV程度のエネルギーのエックス線の測定には適していない。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。シンチレーション式サーベイメータは、およそ50keV以下のエネルギーのエックス線の測定には不向きです。



問4 男性の放射線業務従事者が、エックス線装置を用い、肩から大腿(たい)部までを覆う防護衣を着用して放射線業務を行った。
労働安全衛生関係法令に基づき、胸部(防護衣の下)、頭・頸(けい)部及び手指の計3箇所に、放射線測定器を装着して、被ばく線量を測定した結果は、次の表のとおりであった。

問4図

この業務に従事した間に受けた外部被ばくによる実効線量の算定値に最も近いものは、(1)~(5)のうちどれか。
ただし、防護衣の中は均等被ばくとみなし、外部被ばくによる実効線量(HEE)は、次式により算出するものとする。

HEE=0.08Ha+0.44Hb+0.45Hc+0.03Hm
Ha:頭・頸部における線量当量
Hb:胸・上腕部における線量当量
Hc:腹・大腿部における線量当量
Hm:「頭・頸部」「胸・上腕部」「腹・大腿部」のうち被ばくが最大となる部位における線量当量

(1)0.2mSv
(2)0.3mSv
(3)0.4mSv
(4)0.5mSv
(5)0.6mSv


答え(4)

この問題は、測定結果から「外部被ばくによる実効線量」を算定するものです。
もし全身に均等に被ばくする場合は、基本装着部位(男性は胸部、女性は腹部)に個人被ばく線量計を装着し、そこで測定した1cm線量当量を、外部被ばくによる実効線量とします。
しかし、今回は各部位で測定値が異なる不均等被ばくです。
このような場合の外部被ばくによる実効線量は次の式で算出できます。

HEE=0.08Ha+0.44Hb+0.45Hc+0.03Hm
HEE:外部被ばくによる実効線量
Ha:頭・頸部における1cm線量当量
Hb:胸・上腕部における1cm線量当量
Hc:腹・大腿部における1cm線量当量
Hm:「頭・頸部」「胸・上腕部」「腹・大腿部」のうち外部被ばくによる実効線量が最大となるおそれのある部位における1cm線量当量

臓器・組織ごとに放射線リスクが異なるため、上記の式では、各部位で異なる係数を掛けることになっています。
また、各部位の1cm線量当量は、それぞれの部位に装着した個人被ばく線量計の測定値を用いることが原則ですが、測定されていない場合は、他の部位のうち最大の1cm線量当量を該当部位の1cm線量当量とします。
または、線量不明の部位にもっとも近い部位に装着された線量計による1cm線量当量と同程度であることが明らかな場合には、その近接部位の1cm線量当量を用います。
問題文では「防護衣の中は均等被ばくとみなす」とありますので、胸部と腹・大腿部の測定値は同程度となり、Hcには0.4を用います。
それぞれの値を代入して、外部被ばくによる実効線量を求めます。

HEE = 0.08×1.3 + 0.44×0.4 + 0.45×0.4 + 0.03×1.3
  = 0.499 ≒ 0.5mSv



問5 GM計数管式サーベイメータによる測定に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「検出器の積分回路の時定数の値を小さくすると、指針のゆらぎが[ A ]なり、指示値の相対標準偏差は[ B ]なるが、応答は[ C ]なる。」

(1)A:小さく B:小さく C:遅く
(2)A:小さく B:小さく C:速く
(3)A:小さく B:大きく C:速く
(4)A:大きく B:小さく C:遅く
(5)A:大きく B:大きく C:速く


答え(5)
時定数は、サーベイメータの即応性に関係する値です。
時定数の値を小さくすると、指針のゆらぎが「大きく」なり、指示値の相対標準偏差(バラツキの程度)は「大きく」なりますが、応答は「速く」なります。
また、時定数の値を大きくすると、この反対の挙動となりますので、あわせて覚えましょう。



問6 気体の電離を利用する放射線検出器の印加電圧と生じる電離電流の特性に対応した次のAからDの領域について、出力電流の大きさが入射放射線による一次電離量に比例し、放射線の検出に利用される領域の組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 再結合領域
B 電離箱領域
C 比例計数管領域
D GM計数管領域

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(3)
B 電離箱領域は、出力電流の大きさが入射放射線による一次電離量に比例し、一次電離量がそのまま検出信号となる領域です。
C 比例計数管領域は、検出パルス信号の大きさが、一次電離量に比例する領域です。



問7 被ばく線量測定のための放射線測定器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)フィルムバッジは、写真乳剤を塗付したフィルムを現像したときの黒化度により被ばく線量を評価する測定器で、各フィルタを通したフィルム濃度の変化から、放射線の実効エネルギーを推定することができる。
(2)電離箱式PD型ポケット線量計は、充電により先端がY字状に開いた石英繊維が、放射線の入射により閉じてくることを利用した線量計で、線量の読み取りは随時行うことができる。
(3)半導体式ポケット線量計は、放射線の固体内での電離作用を利用した線量計で、検出器に高圧電源を必要とせず小型軽量で、1cm線量当量がデジタル表示され、作業中の線量確認が容易である。
(4)光刺激ルミネセンス(OSL)線量計は、ラジオフォトルミネセンスを利用した線量計で、検出素子にはフッ化リチウム、フッ化カルシウムなどが用いられている。
(5)電荷蓄積式(DIS)線量計は、電荷を蓄積する不揮発性メモリ素子(MOSFETトランジスタ)を電離箱の構成要素の一部とした線量計で、線量の読み取りは専用のリーダを用いて行う。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。線量測定にラジオフォトルミネセンス現象を利用した線量計は、「蛍光ガラス線量計(RPLD)」です。
また、検出素子としてフッ化リチウムを用いる線量計は、「熱ルミネセンス線量計(TLD)」です。



問8 放射線の測定などの用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)気体中で1個のイオン対を生成するのに必要な放射線のエネルギーをG値といい、気体の電離作用を利用した計測における重要な値である。
(2)入射放射線によって気体中に作られたイオン対のうち、電子が電界によって強く加速され、更に多くのイオン対を発生させることを気体(ガス)増幅といい、比例計数管やGM計数管による測定に利用される。
(3)放射線計測において、測定しようとする放射線以外の、自然又は人工線源からの放射線を、バックグラウンド放射線という。
(4)GM計数管で放射線を計数するとき、分解時間内に入射した放射線は計数されないため、その分、計測値が減少することを数え落としという。
(5)半導体検出器において、放射線が半導体中で1個の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーをε値といい、シリコン結晶の場合は、約3.6eVである。


答え(1)
(2)(3)(4)(5)は正しい。
(1)は誤り。気体に放射線を照射したとき、気体中で1個のイオン対を生成するのに必要な放射線のエネルギーを「W値」といいます。
ちなみに、「G値」とは、化学線量計に用いられている物質が、100eVの放射線エネルギーを吸収したときに変化する分子数を示す値です。



問9 放射線検出器とそれに関係の深い事項との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

(1)電離箱…………………………… 窒息現象
(2)比例計数管……………………… グロー曲線
(3)GM計数管……………………… 電子なだれ
(4)シンチレーション検出器……… W値
(5)フリッケ線量計………………… 充電


答え(3)
(1)は誤り。電離箱と関係の深い事項に、飽和領域、W値があります。窒息現象は、GM計数管と関係の深い事項です。
(2)は誤り。比例計数管と関係の深い事項に、気体増幅(ガス増幅)、電子なだれがあります。グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項です。
(3)は正しい。
(4)は誤り。シンチレーション検出器と関係の深い事項に、光電子増倍管、蛍光作用があります。
(5)は誤り。フリッケ線量計と関係の深い事項に、G値があります。充電は、電離箱式ポケット線量計と関係の深い事項です。



問10 蛍光ガラス線量計に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)測定可能な線量の範囲は、熱ルミネセンス線量計より広く、0.1μSv~100Sv程度である。
(2)放射線により生成された蛍光中心に緑色のレーザー光を当て、発生する蛍光を測定することにより、線量を読み取る。
(3)発光量を一度読み取った後も蛍光中心は消滅しないので、再度読み取ることができる。
(4)素子は、光学的アニーリングを行うことにより、再度使用することができる。
(5)素子には、硫酸マグネシウムなどの蛍光物質が用いられており、湿度の影響を受けやすい。


答え(3)
(1)は誤り。測定可能な線量の範囲は、熱ルミネセンス線量計の方が広いです(0.1μSv~100Sv程度)。蛍光ガラス線量計の測定可能な線量の範囲は、0.1μSv~10Sv程度です。
(2)は誤り。蛍光ガラス線量計では、素子に紫外線を照射し、発生する蛍光を測定することにより、線量を読み取ります。
(3)は正しい。
(4)は誤り。素子は、「熱によるアニーリング」を行うことで、再使用できるようになります。
(5)は誤り。素子には、「銀活性リン酸塩ガラス」が用いられています。湿度の影響を受けにくい特徴を持ちます。

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