X線作業主任者の過去問の解説:生体(2020年4月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:生体(2020年4月)

ここでは、2020年(令和2年)4月公表の過去問のうち「エックス線の生体に与える影響に関する知識(問11~問20)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2020年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2020年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2020年4月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2020年4月)



問11 放射線の細胞に対する影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)細胞分裂の周期のM期(分裂期)の細胞は、S期(DNA合成期)後期の細胞より放射線感受性が高い。
(2)細胞分裂の周期のG1期(DNA合成準備期)後期の細胞は、G2期(分裂準備期)初期の細胞より放射線感受性が高い。
(3)皮膚の基底細胞は、角質層の細胞より放射線感受性が高い。
(4)小腸の絨(じゅう)毛先端部の細胞は、腺窩(か)細胞(クリプト細胞)より放射線感受性が高い。
(5)将来の細胞分裂の回数が多い細胞ほど、放射線感受性は一般に高い。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。小腸の絨毛の上皮細胞は、腺窩細胞で細胞分裂して作られます。
成熟した細胞の方が放射線感受性が低いので、小腸の絨毛先端部の細胞は、腺窩細胞より放射線感受性が低いことになります。



問12 放射線によるDNAの損傷と修復に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 放射線によるDNA損傷には、塩基損傷とDNA鎖切断があるが、エックス線のような間接電離放射線では、塩基損傷は生じない。
B DNA鎖切断のうち、二重らせんの片方だけが切れる1本鎖切断の発生頻度は、両方が切れる2本鎖切断の発生頻度より高い。
C 細胞には、DNA損傷を修復する機能があり、修復が誤りなく行われれば、細胞は回復する。
D DNA鎖切断のうち、2本鎖切断はDNA鎖の相同組換え修復により、1本鎖切断に比べて容易に修復される。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(3)
B,Cは正しい。
Aは誤り。エックス線のような間接電離放射線でも、塩基損傷を生じます。ちなみに、間接電離放射線とは、電気を帯びていない放射線のことで、エックス線の他にガンマ線や中性子線などがあります。
Dは誤り。1本鎖切断の方が、2本鎖切断よりも容易に修復されます。



問13 エックス線被ばくによる末梢(しょう)血液中の血球の変化に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)被ばくにより骨髄中の幹細胞が障害を受けると、末梢血液中の血球数は減少していく。
(2)末梢血液中の血球数の変化は、250μGy程度の被ばくから認められる。
(3)末梢血液中の白血球のうち、リンパ球は他の成分より放射線感受性が高く、被ばく直後から減少が現れる。
(4)末梢血液中のリンパ球以外の白血球は、被ばく直後一時的に増加することがある。
(5)末梢血液中の血球のうち、被ばく後減少が現れるのが最も遅いものは赤血球である。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。エックス線に被ばくすると、血液を作る器官が障害を受けるため、血液の製造をストップします。
よって、被ばく後に採血すると血球数の減少が見られます。
この変化は、0.25Gy(250mGy)程度の被ばくから認められます。



問14 放射線の被ばくによる確率的影響と確定的影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)確率的影響では、被ばく線量が増加すると影響の発生確率も増加する。
(2)確定的影響では、被ばく線量と影響の発生確率との関係が、シグモイド曲線で示される。
(3)遺伝的影響は、確率的影響に分類される。
(4)確定的影響は、実効線量により評価される。
(5)胎内被ばくによる胎児の奇形は、確定的影響に分類される。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。「確率的影響」と「確定的影響」の問題は、必ずと言ってよいほど出題されます。
「確率的影響」は実効線量により評価され、「確定的影響」は等価線量により評価されます。



問15 ヒトが一時に全身にエックス線の照射を受けた場合の早期影響に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 1~2Gy程度の被ばくで、放射線宿酔の症状が現れることはない。
B 3~5Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官の障害によるものである。
C 被ばくした全員が60日以内に死亡する線量の最小値は、約4Gyであると推定されている。
D 被ばくから死亡までの期間は、一般に消化器官の障害による場合の方が、造血器官の障害による場合より短い。

(1)A,B
(2)A,D
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(4)
B,Dは正しい。
Aは誤り。1Gy程度の被ばくで、放射線宿酔の症状が現れます。放射線宿酔では、頭痛、吐き気、倦怠感などの症状が見られます。
Cは誤り。被ばくした「半数」が60日以内に死亡する線量は、半致死線量と言われ、約4Gyであると推定されています。



問16 次のAからDの放射線による身体的影響について、その発症にしきい線量が存在するものの全ての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 白血病
B 永久不妊
C 放射線宿酔
D 再生不良性貧血

(1)A,B,D
(2)A,C
(3)A,D
(4)B,C
(5)B,C,D


答え(5)
A白血病は血液のがんと言われ、確率的影響に分類されており、その発症にしきい線量が存在しません。
B永久不妊、C放射線宿酔、D再生不良性貧血は、確定的影響に分類されており、その発症にしきい線量が存在します。



問17 放射線の生物学的効果に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A LET(線エネルギー付与)とは、物質中を放射線が通過するとき、荷電粒子の飛跡に沿って単位長さ当たりに物質に与えられるエネルギーで、放射線の線質を表す指標である。
B 半致死線量は、被ばくした集団中の全個体が一定期間内に死亡する最小線量の50%に相当する線量である。
C OER(酸素増感比)とは、細胞内に酸素が存在しない状態と存在する状態とを比較し、同じ生物学的効果を与える線量の比で、酸素効果の大きさを表すものである。
D 倍加線量は、放射線による遺伝的影響を推定するための指標であり、その値が大きいほど遺伝的影響は起こりやすい。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(2)
A,Cは正しい。
Bは誤り。半致死線量は、被ばくした集団中の「半数」が一定期間内に死亡する線量です。
Dは誤り。倍加線量の値が大きいほど遺伝的影響は「起こりにくく」なります。なお、ヒトの倍加線量は、1Gyと推定されています。



問18 次のAからCの人体の組織・器官について、放射線感受性の高いものから順に並べたものは(1)~(5)のうちどれか。

A 毛のう
B 小腸粘膜
C 甲状腺

(1)A,B,C
(2)A,C,B
(3)B,A,C
(4)B,C,A
(5)C,A,B


答え(3)
放射線感受性の高いものから、B小腸粘膜、A毛のう、C甲状腺です。



問19 放射線による身体的影響に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 眼の水晶体上皮細胞が損傷を受けて発生する白内障は、早期影響に分類される。
B 白内障の潜伏期は、被ばく線量が多いほど短い傾向にある。
C 晩発影響である白血病の潜伏期は、その他のがんに比べて一般に短い。
D 放射線による皮膚障害のうち、脱毛は、潜伏期が1~3か月程度で、晩発影響に分類される。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(3)
B,Cは正しい。
Aは誤り。放射線による白内障は、潜伏期間が平均2~3年で、「晩発影響」に分類されます。
Dは誤り。放射線による脱毛は、潜伏期が2~3週間程度で、「早期影響」に分類されます。



問20 放射線による生物学的効果に関する次の現象のうち、放射線の間接作用によって説明することができないものはどれか。

(1)生体中に存在する酸素の分圧が高くなると放射線の生物学的効果は増大する。
(2)温度が低下すると放射線の生物学的効果は減少する。
(3)生体中にシステイン、システアミンなどのSH基をもつ化合物が存在すると放射線の生物学的効果が軽減される。
(4)溶液中の酵素の濃度を変えて一定線量の放射線を照射するとき、不活性化される酵素の分子数は酵素の濃度に比例する。
(5)溶液中の酵素の濃度を変えて一定線量の放射線を照射するとき、酵素の濃度が減少するに従って、酵素の全分子数のうち、不活性化される分子の占める割合は増大する。


答え(4)
(1)は間接作用によって説明できる。これを酸素効果と言い、直接作用でも説明できます。
(2)は間接作用によって説明できる。これを温度効果と言います。
(3)は間接作用によって説明できる。これを防護効果と言います。
(4)は間接作用によって説明することができない。これは直接作用で説明できます。間接作用では、不活性化される酵素の分子数は、酵素の濃度を変えても一定です。
(5)は間接作用によって説明できる。

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