X線作業主任者の過去問の解説:生体(2014年10月) | エックス線作業主任者 講習会・通信講座

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X線作業主任者の過去問の解説:生体(2014年10月)

ここでは、2014年(平成26年)10月公表の過去問のうち「エックス線の生体に与える影響に関する知識(問11~問20)」について解説いたします。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

X線作業主任者の過去問の解説:管理(2014年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:法令(2014年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:測定(2014年10月)
X線作業主任者の過去問の解説:生体(2014年10月)



問11 放射線の細胞に与える影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)細胞分裂の周期のM期(分裂期)の細胞は、S期(DNA合成期)後期の細胞より放射線感受性が高い。
(2)細胞分裂の周期のG1期(DNA合成準備期)後期の細胞は、G2期(分裂準備期)初期の細胞より放射線感受性が低い。
(3)皮膚の基底細胞は、角質層の細胞より放射線感受性が高い。
(4)小腸の腺窩細胞(クリプト細胞)は、絨毛先端部の細胞より放射線感受性が高い。
(5)将来行う細胞分裂の回数の多い細胞ほど放射線感受性は一般に高い。


答え(2)
(2)は誤り。G1期後期の細胞は、G2期初期の細胞より放射線感受性が『高い』ことがわかっています。なお、放射線感受性が最も高いのはM期の細胞です。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問12 放射線被ばくによる白内障に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)放射線により眼の角膜上皮細胞が障害を受けると、白内障が発生する。
(2)白内障は、潜伏期間が2~4週間程度で、早期影響に分類される。
(3)白内障の潜伏期間は、被ばく線量とは無関係である。
(4)白内障の重篤度は、被ばく線量に依存する。
(5)白内障発生のしきい線量は、急性被ばくでも慢性被ばくでも変わらない。


答え(4)
(1)は誤り。白内障は、眼の水晶体の細胞が障害を受けると発生します。
(2)は誤り。白内障の潜伏期間は、平均して2~3年で晩発影響に分類されます。なお、潜伏期間とは被ばくしてから症状が発生するまでの期間のことで、潜伏期とも言います。
(3)は誤り。白内障は、潜伏期間と被ばく線量に関係があり、被ばく量が多いほど潜伏期間は短い傾向にあります。
(4)は正しい。
(5)は誤り。白内障発生のしきい線量は、急性被ばくと慢性被ばくで異なり、急性被ばくでは約5 Gy、慢性被ばくでは約10 Gy以上と言われています。



問13 エックス線被ばくの造血器官及び血液に対する影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)赤色骨髄中の幹細胞が障害を受けると、末梢血液中の血球数は減少する。
(2)末梢血液中の有形成分の変化は、25 μGy程度の被ばくから認められる。
(3)末梢血液中のリンパ球は、放射線感受性が高く、被ばく直後から減少する。
(4)末梢血液中のリンパ球以外の白血球は、被ばく直後一時的に増加することがある。
(5)末梢血液中の有形成分のうち、被ばく後減少が現れるのが最も遅いものは赤血球である。


答え(2)
(2)は誤り。末梢血液中の有形成分の変化は、0.25 Gy程度の被ばくから認められます。25 μGyをGy単位になおすと0.000025 Gyです。この程度の線量では、末梢血液中の血球数に変化は見られないとされています。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問14 エックス線被ばくによる放射線皮膚炎の症状に関する次のAからDまでの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 0.2 Gyの被ばくでは、皮膚の充血や腫脹がみられる。
B 3 Gyの被ばくでは、一過性の紅斑や脱毛がみられる。
C 5 Gyの被ばくでは、水疱や永久脱毛がみられる。
D 30 Gyの被ばくでは、難治性の潰瘍がみられる。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(4)
Aは誤り。皮膚の充血や腫脹がみられるのは、5 Gy以上の被ばくです。
Cは誤り。水疱や永久脱毛がみられるのは、12 Gy以上の被ばくです。
B,Dは正しい。



問15 放射線の被ばくによる確率的影響及び確定的影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)確率的影響では、被ばく線量が増加すると、影響の発生確率が増す。
(2)確定的影響では、被ばく線量と影響の発生確率との関係がシグモイド曲線で示される。
(3)確率的影響の発生確率は、実効線量により評価される。
(4)遺伝的影響は、確定的影響に分類される。
(5)しきい線量は、確定的影響には存在するが、確率的影響には存在しないと考えられている。


答え(4)
(4)は誤り。確定的影響ではありません。遺伝的影響は、『確率的影響』に分類されます。確率的影響には、遺伝的影響の他、発がんが分類されます。
(1)(2)(3)(5)は正しい。



問16 放射線によるDNAの損傷とその修復に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)DNA損傷には、塩基損傷とDNA鎖切断がある。
(2)DNA損傷は、細胞死や突然変異を誘発することがある。
(3)DNA鎖切断のうち、二重らせんの片方だけが切れる1本鎖切断の発生頻度は、両方が切れる2本鎖切断の発生頻度より高い。
(4)細胞には、DNA損傷を修復する機能があり、修復が誤りなく行われれば、細胞は回復する。
(5)DNA鎖切断のうち2本鎖切断は、DNA鎖の組換え現象が利用されるため、1本鎖切断に比べて容易に修復される。


答え(5)
(5)は誤り。DNA鎖切断のうち1本鎖切断の方が、2本鎖切断よりも容易に修復されます。
(1)(2)(3)(4)は正しい。



問17 生体に対する放射線効果に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)直接作用では、放射線により水分子から生じたフリーラジカルが、生体に損傷を与える。
(2)間接作用では、放射線により生じた二次電子が、生体を電離又は励起し、生体に損傷を与える。
(3)生体中にシステインなどのSH基を有する化合物が存在すると放射線効果が軽減されることは、直接作用により説明される。
(4)生体中に存在する酸素の分圧が高くなると放射線効果が増大することは、間接作用では説明できない。
(5)溶液中の酵素の濃度を変えて同一線量の放射線を照射するとき、酵素の濃度が減少するに従って、酵素の全分子数のうち不活性化されるものの占める割合が増大することは、間接作用により説明される。


答え(5)
(1)は誤り。直接作用では、放射線により生体高分子から飛び出した二次電子が、生体高分子を構成する原子を電離又は励起することで、生体に損傷を与えます。
(2)は誤り。間接作用では、放射線により生体内の水分子から生じたフリーラジカルが、生体高分子に損傷を与えます。
(3)は誤り。これは防護効果と言われ、間接作用により説明されます。
(4)は誤り。これは酸素効果と言われ、直接作用と間接作用の両方で説明できます。
(5)は正しい。



問18 胎内被ばくに関する次のAからDまでの記述について、正しいものすべての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 着床前期の被ばくでは胚の死亡が起こることがあるが、被ばくしても生き残り、発育を続けて出生した子供には、被ばくによる影響はみられない。
B 器官形成期の被ばくでは、奇形が生じることがある。
C 胎内被ばくによる精神発達遅滞の発生のしきい線量は、5 Gy程度である。
D 胎内被ばくにより胎児に生じる奇形は、確定的影響に分類される。

(1)A,B,C
(2)A,B,D
(3)A,C,D
(4)B,C
(5)B,D


答え(2)
胎内被ばくとは、母親のお腹の中にいる赤ちゃんが被ばくすることで、これに関する問題は近年よく出題されているので確実に押さえておきましょう。
Cは誤り。5 Gyは、ヒトの半致死線量(4 Gy)を超える大きな線量です。胎内被ばくによる精神発達遅滞の発生のしきい線量は、0.2 Gy程度と推測されています。
A,B,Dは正しい。



問19 放射線による遺伝的影響に関する次のAからDまでの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 生殖腺が被ばくしたときに生じるおそれのある影響には、遺伝的影響のほか、身体的影響もある。
B 胎内被ばくを受け、出生した子供にみられる発育遅滞は、遺伝的影響である。
C 遺伝的影響は、次世代だけでなく、それ以後の世代に現れる可能性がある。
D 放射線照射により、突然変異率を自然における値の10倍にする線量を倍加線量という。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(2)
Bは誤り。胎児は1人の個体と考えるため、胎児への影響は遺伝的影響ではなく、身体的影響に分類されます。
Dは誤り。『10倍』ではなく『2倍』です。倍加線量の定義は覚えておきましょう。
A,Cは正しい。



問20 生物学的効果比(RBE)に関する次のAからDまでの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A RBEは、基準放射線と問題にしている放射線について、各々の同一線量を被ばくしたときの集団の生存率の比により表される。
B RBEの値は、同じ線質の放射線であっても、着目する生物学的効果、線量率などの条件によって異なる。
C RBEを求めるときの基準放射線としては、通常、アルファ線が用いられる。
D RBEは、一般に、放射線の線エネルギー付与(LET)が100 keV/μm付近で最大値を示す。

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(4)
Aは誤り。RBEは、吸収線量の比によって表され、線質の異なる放射線の生物学的効果の違いを示すことができます。
Cは誤り。RBEを求めるときの基準放射線としては、通常、低LET放射線のエックス線やガンマ線が用いられます。
B,Dは正しい。

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